二十六・南庄頭



 南庄頭の戦闘は支那軍二十万(敵側の公称)の守備兵と二十日間にわたり繰り広げられた。山岳地という特殊な会戦であった。

*補足(藤本)
 敵との距離があまりにも近いため、戦死者は収容されなかったそうである。ほったらかしの死体からうじがわき、臭気甚だしかったという。
「とにかく、南庄頭の戦いといったら、暑くて暑くてたまらなかった記憶がある。だから、死体の腐敗も早くて、無残な仏様ばかりだった。人間の尊厳なんてものはこの戦場では遠いものであるかのように思えたよ」

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