五十七・火葬



 戦病死者続出。火葬は敵の空襲を避け、大野山林で毎日のようにおこなわれる。

*補足(藤本)
 作品番号二十五『戦死者の火葬』と作品番号五十七『火葬』の二点が『私の歩んだ昭和史〜栄光の日本陸軍破る』に収録されているが、両作品を鑑賞するたびに涙腺が緩んでしまう。
「ばかもん、女みたいにめそめそするんじゃない。お前はそれでも漢か」
 理屈抜きに、石坂准尉はそう厳しく叱ってくれることだろう。
 漢らしさに理由は必要ないのだ。強がって強がって強がり続けるのが漢なのだ。
 たとえ肉親に等しい戦友たちの死を前にしても。
「この野郎、俺に散々迷惑かけた末に死後の進級か。笑わせるな」
 石坂准尉のことだから、本音をひた隠しにして宮古島で犠牲になった戦友の火葬に立ち会ったことだろう。

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