八・満州鉄道 |
軍用列車は朝鮮から満州国に入り、 「夢にまで見た大満州国だ」 と、心の中で歓喜した。しかし、その喜びとは裏腹に、果てしなく広がる大平原は退屈だった。塀に囲まれた部落がまばらにあるだけで、変化のない光景が延々と続くのだ。 |
*補足(藤本) 五族協和の王道楽土を目指して建国された満州国である。皇帝溥儀の統治する理想国家に石坂准尉も感動し、「夢にまで見た大満州国」という言葉が自然とこぼれ出た。ほかの兵隊も同じような感慨にふけったことだろう。 |
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