六・新潟港



天に代りて不義を討つ
忠勇無双のわが兵は
歓呼の声に送られて
今ぞ出で立つ父母の国
勝たずば生きて還らじと
誓ふ心のいさましさ

 祖国最後の夜は市内の民家に泊まった。
 翌十二日、いよいよ出港の日。新潟港の埠頭から輸送船天草丸に乗船した。
 港内では軍艦マーチが勇ましく流れ、数十隻の見送り船からは日の丸の小旗が打ち振られていた。出帆にふさわしいお祭り騒ぎに感無量である。

*補足(藤本)
 期待と不安を胸に、若者たちを乗せた輸送船が日本海の大海原に乗り出す。
 皆、故郷に錦を飾ってやろうと意気込んで乗船したことだろう。

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