十・匪賊討伐



どこまでつゞくぬかるみぞ
三日二夜を食もなく
雨ふりしぶく鉄兜

*補足(藤本)
 匪賊討伐のため、大小の駆逐戦が関東軍によっておこなわれた。石坂准尉も小規模ではあるものの、征伐に出動している。昭和十二年五月、渡満してすぐのことである。
 石坂准尉の話によると、日本軍が到着した頃には、匪賊は逃げ去ってしまった後で戦闘はおこらなかったそうだ。さすがに強盗で食いつないでいる匪賊は、卑劣であってもばかではない。強大な関東軍を相手に正面からぶつかるようなことは避けたのだ。

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