五十八・終戦



 昭和二十年八月十五日、日本はポツダム宣言を受諾。戦争は終結した。
 終戦を知ったのは十八日であった。中隊長佐藤中尉はこの日、重大訓示があるので全員集合せよと命じた。
 中隊長は涙ながらに敗戦を伝えた。
 明治以来、負けることを知らない神国日本は敗れ、降伏の汚名を受けた。

*補足(藤本)
 悔しいの一言に尽きる。それ以上は何も述べようがない。ただ悲しさだけが歩兵第三十連隊将兵に覆いかぶさってくるのだ。佐藤中尉以下、中隊全員が涙し、おえつの声を上げた。
 ああ、残念で残念でたまらない。石坂准尉の悲しみを思えばなおさらである。

 昭和二十年八月十五日、栄光の日本陸軍破る。

←前の絵 次の絵→



戻る