| 特務艦能登呂研究報告 |
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特務艦能登呂研究報告 |
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大正十五年十二月三日、特務艦能登呂艦長・北川 清が海軍大臣・財部 彪に宛てて報告した書類。 ウェブサイト「アジア歴史資料センター」の「特務艦能登呂研究報告」（Ref.C04015696500）が底本。 |
| 軍鳩訓練実施経過ノ概要竝所見 一、実施経過ノ概要 大正十四年十一月本艦ニ艦上鳩舎ヲ設置シ軍鳩実験委員トシテ士官三名ヲ指定シ外ニ兵二名ヲシテ常時之カ飼育訓練ニ従事セシメタリ 本年度中実施セシ主ナル事項左ノ如シ （一）飛行機上ヨリ行フ放鳩 （二）艦舩ヨリ行フ放鳩 （三）陸上各方面ヨリ行フ放鳩 （四）幼鳩近距離帰巣訓練 （五）日施放鳩 等ニシテ特ニ七、八月ノ期間ハ軍鳩ノ訓練期タルト共ニ艦隊ノ戦技時期ナリシカハ積極的ニ出動艦舩ヲ利用シ砲戦中ノ放鳩或ハ機上放鳩ヲ実施スルコトヲ得タリ 二、成績 （一）任務放鳩帰巣成績左表ノ如シ
（二）遠距離放鳩訓練
（三）日施放鳩 毎日励行 三、所見 （イ）特設航空母艦ニ於ケル軍鳩ノ価値 特設航空母艦ニ於ケル主ナル軍鳩ノ利用法トシテハ （一）飛行機ノ不時着水ノ際急報用トシテ使用 （二）飛行機ヨリ母艦ニ対スル補助通信 （三）他艦舩ヨリ母艦ニ対スル補助通信 （四）飛行基地ヨリ母艦ニ対スル通信 等ニシテ（一）ノ場合ニ際会シ実際使用セシコトアレ共帰巣セシモノナク遂ニ其ノ効果ヲ認メス（二）ノ利用法ハ多数回ニ亙リ之ヲ実施セリト雖本艦ノ対航空機無線通信ハ確実ナリシ為補助通信ノ必要ヲ認メス従テ機上放鳩ニ依テ効果アリト感セシコト僅少ナリ（三）ノ利用法トシテハ佐伯湾ニ於ケル戦技中之カ実施ニ努メ戦技施行海面ノ天候風向風力海上ノ模様等飛行実施ニ必要ナル通信ニ使用セルモ概シテ帰巣時機後レ是又実用ノ機会僅少ナリキ（四）ノ飛行基地ヨリ母艦ニ対スル通信ニハ最モ有効ニシテ各所ニ於テ基地ヲ設置スル毎ニ訓練ヲ兼ネ実用通信ニ利用シ特ニ其距離カ半旗信号ノ有効限度ヲ越エルカ如キ場合ニハ其効果ノ大ナルモノアルヲ認メタリ 要スルニ其価値トシテハ（四）ノ場合ニハ有効ナルヲ認メ得レ共其他ノ場合ハ実用ノ機会アルモ軍鳩ノ能力不足ナルヲ以テ其効果ヲ信頼シ得ス従テ特設航空母艦ニ於ケル軍鳩ノ価値ハ僅少ナルモノト認ム （ロ）本艦ノ現状 本艦ノ乗員ハ特務艦編制ヲ以テ艦隊航空任務ニ服セルヲ以テ常ニ人員ノ不足ヲ感シ作業ニ追ハルヽ状況ナルヲ以テ専門的ニ軍鳩ニ関係セシムヘキ兵ト雖時々他ノ事業ニ従事セシメサル可ラサル場合アリ又之カ指導ニ当ルヘキ士官モ本務ニ逐ハレテ周到ナル監督ヲナシ得サル状況ニアリ故ニ特ニ人員ノ増加ヲ見サル以上充分ナル効果ヲ予期スル能ハサルナリ （ハ）結論 前記ノ如キ現状ヲ以テ之カ訓練竝実用ニ努メタルモ現状ヲ以テスレハ軍鳩ノ能力不足ニシテ今日ノ通信ヲ補助セシムルニ足ラス其価値少ナキモノト認ム 然レ共今直ニ之ヲ以テ其価値ヲ断定スルハ稍早計ニ失スル嫌ナキヲ保セス 即チ本艦装備ノ現鳩舎位置及据方ニ稍欠陥アルモノヽ如ク又人員ノ不足ハ係員ヲシテ専念之ニ鞅掌セシムル能ハサリシ点アリタレバナリ故ニ十六年度ニ於テ更ニ前記二項ヲ改善増員シ実験ノ上艦上ニ於ケル軍鳩価値ヲ決定スルヲ妥当ト認ム （終） |
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