私的文章規則 |
■散文を書く際の心構え たかが散文、俳句や詩をやっているわけではないので、美文とは縁を切る。悩んでいる時間がもったいない。文法の間違いや語彙(ごい)の重複、大いに結構、後で読み返して気がついたら、そのときに直してやればよい。どんどん書き殴れ。 *** ■用字用語 特に法則は設けない。勝手気ままに書き散らす。しかし、表記に揺らぎがあるのはみっともないので、できるだけ統一するように心がける。 なお、常用漢字の漢字使用制限は順守しない(役所や新聞社などで用いられている表記にも厳密には従わない)。共同通信社『記者ハンドブック』を主に活用しつつ、好みの用字用語を自由に使用する。 ○来た・来る・来て (@「人や生物そのもの」の物理的移動を主に指しているときのみ、漢字の「来」を使用する。それ以外はひらがなを使う ○「それ、その、そんな、そのように、そういう」と「これ、この、こんな、このように、こういう」 (物体などの遠近関係とは別に)例外もあるが、前者は前に述べた事柄を指し、後者は後に述べる事柄を指す(ことが多い)。深く考えないで筆を進めて、よく書き間違える。読み返すときに修正すること。 ○箇条 ×個条 ○五箇条 ×五個条 五ケ条 五ヶ条 五カ条 五ヵ条 五か条 ○一ヶ月 ×一箇月 一個月 一ケ月 一カ月 一ヵ月 一か月 ○五ヶ年 ×五箇年 五カ年 五ヵ年 五か年 ○箇所 ×個所 ○一箇所 ×一個所 一ケ所 一ヶ所 一カ所 一ヵ所 一か所 ○一個小隊 ×一箇小隊 ○もと ×基(元)(下) ↑読みづらいので、ひらがな書きとする。ただし、「基づき」は漢字書き。 ○きたる △来る ↑誤読されるおそれがあるので、ひらがな書きにする。 ○きたす △来す ○きたれ △来れ ○〜にみられるように ×〜に見られるように ○折しも ×折りしも ○たわいない ×たわいもない ×たわいのない ○〜の折 ×〜の折り ○おいしい ×美味しい ○さらに ×更に ○ただし ×但し ○および ×及び ↑ただし、「被害が及ぶ」のような文では「及」という漢字を使う。接続詞として使うときのみ、ひらがなに直して「および」と表記する。 ○ならびに ×並びに ○または ×又は ○もしくは ×若しくは ○とき △時 ↑名詞として使う際には「時」と表記してもよい。 ○いったん ×一旦 ○ほとんど ×殆ど ○わずか ×僅か ○あらかじめ ×予め ○いずれ ×何れ ○〜するごとに ×〜する毎に ○じかに ×直に ○全て ×すべて ○ついに ×遂に ○なお ×尚 ○なぜ ×何故 ○まず ×先ず ○まだ ×未だ ○一層 △いっそう ○いかに ×如何に ○〜とともに ×〜と共に ○最も △もっとも ○次第に ×しだいに ○だんだん ×段々 ○おいおい ×追々 ○極める ×きわめる ○究める △きわめる ○窮める △きわめる ○胸が膨らむ △胸がふくらむ ○例えば ×たとえば ○度々 △たびたび ○併せて △あわせて ○あるいは ×或は ○いわゆる ×所謂 ○故に △ゆえに ○したがって ×従って ↑ただし、「命令に従う」のような文では「従」という漢字を使う。接続詞として使うときのみ、ひらがなに直して「したがって」と表記する。 ○ひらがな △平仮名 ○カタカナ △片仮名 ○ページ ×頁 ○たばこ(タバコ) ×煙草 ○聞く ×訊く ○〜にすぎない ×〜に過ぎない ○その ×其の ○それぞれ ×夫々 ○おのおの ×各々 ○まさに ×正に ○〜するうえで ×〜する上で ○〜のとおり ×〜の通り ○ため ×為 ○ほか ×他(外) ○その他(た) ×その他(ほか) ↑常用漢字では「他」を「ほか」とは読まない。 ○こと ×事 ○呼ぶ ×よぶ ○ごとく ×如く ○やすい ×易い ○さまざま ×様々 ○いろいろ ×色々 ○いろんな ×色んな ↑「いろんな」は「いろいろな」のくだけた言い方。 ○おいて ×於いて ↑ただし、「於上野公園」のような表記は許容とする。 ○など ×等 ↑一例ないし二例を例示するときは「〜など」と表記する(基本的に「等」は使用しないようにする) ○〜につき ×〜に付き ○直ちに △ただちに ○すぐに ×直ぐに ○速やかに ×すみやかに ○食らう ×喰らう ○強いて △しいて ○もらう ×貰う ○たとえ ×仮令 ○単に(単なる) ×たんに(たんなる) ○なし ×無し ○ありがたい ×有り難い ○ありがとう ×有り難う ○〜し難い △〜しがたい ○あり得ない ×有り得ない ○ぜひとも ×是非とも ↑副詞で用いるときには「ぜひ」「ぜひとも」と表記する。「是非を問う」「是非を論じる」などのときは漢字を使用する。 ○もちろん ×勿論 ○大体 △だいたい ○一体 △いったい ○さかのぼる ×遡る ○いいかげん ×好い加減 ○果たして ×はたして ○果たす ×はたす ○たるむ ×弛む ○よろしく ×宜しく ○よろしい ×宜しい ○すべ ×術 ○充分 ×十分 ↑誤読されるおそれがあるので、「充分」という表記に統一する。 ○ありし ×在りし ○わたる ×亘る ○渡る ×わたる ○そのような ×その様な ○そのさま ×その様 ○たくさん ×沢山 ○無理やり ×無理矢理 ↑「矢理」は当て字。 ○めちゃくちゃ ×滅茶苦茶 ○めちゃめちゃ ×滅茶滅茶 ○まとめる ×纏める ○まつわる ×纏わる ○殊に ×ことに ↑「殊に」という言い回しは古臭く、格好つけているような感じがするので、基本的には「特に」と言い換える。 ○あえて ×敢えて ○読みにくい ×読み難い ○ほどほど ×程々 ○ほど ×程 ○よほど ×余程 ↑「余」は当て字。 ○伺う ×うかがう ○うかがう ×窺う ○よし ×良し ○いい ×良い ○よい ×良い ○すなわち ×即ち ○全く △まったく ○全う △まっとう ○はず ×筈 ○できる ×出来る ○言う ×いう ○言い訳 ×言いわけ ○わけ ×訳 ○とはいえ ×とは言え ○いえる ×言える ○いえよう ×言えよう ○下さい ×ください ↑本動詞で使用するときには「下さい」、補助動詞で用いる際には「ください」と表記する。 ○〜してください ×〜して下さい ○つかむ ×掴む ○異状なし ×異常なし ○かける ×掛ける ○心がける ×心掛ける ○仕かけ ×仕掛け ○つける ×付ける ○気をつけ ×気を付け ○はじめる ×始める ○はじめて ×初(始)めて ↑関係書籍を丹念に調べたが、「初」と「始」の使い分けについて、はっきりと記しているものが見当たらなかった。現状はひらがな表記で可とする。 ○何 ×なに ○何だって ×なんだって ○そうなんでしょ ×そう何でしょ ↑「なの」が「なん」に変じたものと「何」が「なん」に変じたものがあるので注意する。混同しないこと。 ○何だと ×なんだと ○何だろう ×なんだろう ○何ら ×なんら(何等) ○行ってきた ×行って来た ○筆をおく ×筆を擱く ○おこなう ×行う ↑「行って」(おこなって)が「行って」(いって)と誤読されるおそれがあるので、ひらがな書きに統一する。 ○捉える △とらえる ○捕らえる ×とらえる ○引っ繰り返す ×ひっくり返す ○たえる ×耐(堪)える ↑使い分けが難しいので、現状はひらがき書きで可とする。 ○絶える ×たえる ○覚える △おぼえる ×憶える ○おぼしき ×思しき ○もって ×以て ○まれに ×希(稀)に ○鳩 ×ハト ○伝書鳩 ×伝書バト ○軍用鳩 ×軍用バト ○軍鳩(ぐんきゅう) ○カワラバト ×河原鳩 ○ドバト ×土鳩 ○キジバト ×雉鳩 ○アオバト ×緑鳩 ○ヤマバト ×山鳩 ○カラスバト ×烏鳩 ○シラコバト ×白子鳩 ○ジュズカケバト ×数珠掛鳩 ○ギンバト ×銀鳩 *** ■旧字体 旧字体は使用しない。たとえ固有名詞(人名含む)であっても新字体に直すように努める。ただし、用語に雰囲気を持たせたいとき、旧字体の表記を重んじたいとき(重んじなければならないとき)、昔の文章を引用するときなどは旧字体を用いることがある。 ○広沢亀蔵 ×廣澤龜藏 *** ■略字 略字は正字に直す。 ○幅 ×巾 ○闘 ×斗 ○歳 ×才 ○齢 ×令 *** ■代用漢字 代用漢字の表記を重んじる。 ○少ない ×尠ない ○連合艦隊 ×聯合艦隊 ○御者 ×馭者 ○奇形 ×畸形 ○奇麗 ×綺麗 *** ■引用文のルール 大東亜戦争以前に書かれた文章などを引用する際には、適宜、難解だと思われる文字を常用漢字や代用漢字に改める。 大東亜戦争後に書かれた文章などを引用する際には、できるだけ原文のままで表記するように努める。 *** ■「!」や「?」について 「!」や「?」は使用しない。文章がバター臭くなる。記号に頼りたくない。地の文で状況を伝えられるようにしたい。しかし、気にし過ぎると、がんじがらめになって何も書けなくなる。多用しない程度でよしとする。 ○「何だって」と彼は叫んだ ×「何だって!」 *** ■「……」や「――」について 基本的に「……」や「――」は使いたくない。記号に頼りたくない。地の文で状況を伝えられるようにしたい。しかし、気にし過ぎると、がんじがらめになって何も書けなくなる。多用しない程度でよしとする。 ○「畜生め」と言った後、彼は押し黙った ×「畜生め……」 *** ■記号と句読点の関係 ○猫(三毛) ×猫(三毛)。 ○ところが、『歎異抄』には―― △ところが『歎異抄』には―― ○大林寺(市内)。この寺は―― ×大林寺(市内)この寺は―― *** ■「」内の「」 「」内の「」は『』にする。 ○「神保町の『古本市』に行ってきた」 ×「神保町の「古本市」に行ってきた」 *** ■体言止め 体言止めは多用しない。ただし、字数制限があるとき、簡潔に述べたいとき、写真のキャプションなどを書くときには可とする。 ○納豆は栄養価が高い ×栄養価の高い納豆 *** ■横文字 欧米から取り入れた外来語、もしくは和製英語が多用されている文章は見苦しい。可能な限り、単語は日本語に直して表記する。ただし、広く浸透しているカタカナ言葉は除外する。 ○昇降機 ×エレベーター ○試験 ×テスト ○はじめ ×スタート ○乳母車 ×ベビーカー *** ■誤用 ついつい誤用をやってしまう。文章を読み返すときに洗い出すこと。 ○頭痛 ×頭痛が痛い ○落馬 ×馬から落馬する ○罪を犯す ×犯罪を犯す ○害を被る ×被害を被る *** ■文語体、文語風の単語 大和言葉で書かれた文章は読みやすい。しかし、法律の条文のような堅苦しい文章も好きだ。特に軍事関係の文章を書くときは雰囲気があってよい。 ときと場合に応じて使い分ける。 本日は晴天なり 敵〓機撃墜せり ○読書 ×本を読む ○僧侶 ×お坊さん *** ■単語の整理 同じ言葉、同じような単語が何度も出てくるのは下品。別の表記に書き直すか、重複している単語を切り詰める。しかし、気にし過ぎると、がんじがらめになって何も書けなくなる。多用しない程度でよしとする。 ×銘鳩○○号を種鳩にすれば、今度の鳩レースに優勝鳩を送り込めるかもしれない *** ■指示語 指示語の多用は文章の品格をおとしめる。しかし、気にし過ぎると、がんじがらめになって何も書けなくなる。多用しない程度でよしとする。 ×あの ×あれ ×この ×これ ×その ×それ *** ■接続詞 接続詞の多用は文章の品格をおとしめる。しかし、気にし過ぎると、がんじがらめになって何も書けなくなる。多用しない程度でよしとする。 ×そして ×しかし *** ■幼児語、俗語 幼児語や俗語の多用は文章の品格をおとしめる。しかし、気にし過ぎると、がんじがらめになって何も書けなくなる。多用しない程度でよしとする。 ×うんち ×おしっこ ×元ネタ ×やばい ×つっぱり *** ■新語、方言 新語や方言には品格がない。できるだけ使わないようにする。ただし、会話文は、その人物の特徴や性質を表しているため、使用可とする。 がっつり ↑しっかり、たくさんという意味 真逆(まぎゃく) ↑「真っ逆さま」ではなく「正反対」という意味 *** ■意味の取り違え
*** ■ひらがなの単語が続くとき ひらがなの言葉が続くときは「、」を打って読みやすくする。ただし、読みにくいと思われた場合に限る。 ○この作文は、てにをは、がおかしい ×この作文はてにをはがおかしい *** ■〓(下駄) 一、パソコンに表示することができない漢字・記号などは〓で代替し、後ろに( )をつける。( )内には、表示不可能な漢字・記号などの説明を入れる。 二、文献によっては読み取り不可能な箇所があったり、文章が欠落していたりして、タイプ打ちすることができない場合がある。そういうときには〓を代入する。 *** ■擬音語(擬声語)と擬態語 文章の品格をおとしめるので、擬音語(擬声語)と擬態語はできるだけ使わないようにする。しかし、あまり気にし過ぎると何も書けなくなる。多用しない程度でよしとする。 なお、擬音語(擬声語)はカタカナ、擬態語はひらがなで記すこと。 *** ■呼応の副詞 なぜ → 〜か 〜だろうか どうして → 〜か 〜あろうか まるで → 〜のように みたいに ごとく ちょうど → 〜のように みたいに あたかも → 〜のように みたいに さながら → 〜のように みたいに おそらく → 〜だろう でしょう きっと → 〜だろう でしょう たぶん → 〜だろう でしょう ぜひ → 〜してください どうか → 〜してください よもや → 〜(ある)まい まさか → 〜(ある)まい 〜ではないだろう もちろん → 〜だが 〜だけれども たしかに → 〜だが 〜だけれども *** ■人名表記 ○林 太郎 ×林太郎 ○田中 篤 ×田中篤 ○森 進 ×森進 ○藤本泰久 ×藤本 泰久 ○藤本泰久 ×藤 本 泰 久 ○毛沢東 ×毛 沢東 ↑中国人、朝鮮人に関しては性と名を続けて表記する ○金日成 ×金 日成 ↑同上 *** ■参考になるウェブサイト ちょっと気になる用字用語 http://www.pref.hokkaido.lg.jp/sm/bsh/words/yougo.htm 「下さい」と「ください」を正しく使い分けていますか? http://www.bow-wow.jp/sht3/pdf/021_symposium2009.pdf バイト敬語 http://ja.wikipedia.org/w/index.php?curid=430229 敬語の指針 http://www.bunka.go.jp/bunkashingikai/soukai/pdf/keigo_tousin.pdf 日本語検定 http://www.nihongokentei.jp/ 履歴 平成二十二年九月二十八日 (この日から『私的文章規則』を適用する) |
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