第二次世界大戦こぼれ話


 先日、市民から集めた要らなくなった本を、欲しい人に無料配布する催しが近所の図書館であった。
 ここで引用し、まとめているものは、その際に手に入れた第二次大戦物の翻訳本である。著者が外国人なので欧米に関する記述は信頼に値するが、わが国に関する記述(*「日本軍将校は背が低い」の項)になると、途端に怪しくなってくる。しかし、事実関係を調べて書き直すのは面倒なので、あえてそのままにしている。
 なお、ただ言葉を入れ替えて内容を要約するだけでは芸がないので、私の筆が多少加わっている。当ウェブサイトを読んでいる方には、もはや説明の必要はないか。



不運な死者

 第二次世界大戦中、ロンドン市民はドイツ軍の空襲によって多数の死傷者を出したが、そのうち四十人ほどは思いも寄らない原因で亡くなっている。夜間、ドイツ軍の空襲に備えて真っ暗になっていた街を歩いていた通行人が交通事故に遭ってしまったのである。


将校さまは偉い

 一九四一年十二月、日本軍の香港攻撃がはじまったとき、カナダ軍の歩兵部隊がスタンレイ兵営の防備を固めようとしたところ、イギリス軍の将校が猛反対した。一兵卒が将校用食堂に入ることを禁止していたからである。


ヒトラー社会

 戦前のヒトラー政権下の殺人事件発生率は、アメリカの同時期と比べた場合、十二・八%と、はるかに少ない。年間の殺人事件発生率では十万人当たり〇・七五件で、アメリカは五・八四件である。
 無論、ヒトラーがおこなった組織的な殺人は除外されているが。


殺人鬼は模範的人間だった

 酒を飲まず、煙草を吸わず、動物実験や動物解剖に反対し、おまけに徹底した菜食主義者。
 その名をアドルフ・ヒトラーという。


あぜんとする現実

 フランス戦線でイギリス軍が放棄した戦車のうち、ドイツ軍に破壊されたものはわずか二十五%にすぎなかった。しかし、フランス軍と比べれば、まだましだった。フランス軍の戦車の半数近くは燃料不足で放棄されているからだ。お粗末なことに、五時間分の燃料しか用意されていなかったという。


日本軍将校は背が低い

 どこの国の軍隊でも将校というのは、一般の兵隊たちより背が高い傾向がある。普段から豊かな食事を口にしている階層が将校教育を受ける機会に恵まれるからである。
 しかし、日本軍の将校はその傾向が当てはまらない。日本軍の将校教育は、朝五時から夜十一時まで休みなく続けられ、夜間演習の際には徹夜を繰り返し、おまけに質の悪い食事を取っていたからである。結果、厳しい訓練と質素な食生活によって、伸び盛りの十代の士官候補生の身長が一・二センチあまり、体重は一・三キログラムしか増えなかった。
 第二次世界大戦中の日本軍将校の平均身長は一六五センチ前後、体重は五十八キログラムで、連合軍将校とは身長で十五センチ、体重では十五キログラムの差がついている。

*藤本・注
 著者が欧米人であることに加えて、弾き出されている数字があまりにも正確なところが、むしろ不自然に思われる。あくまで参考程度に留めておくのが賢明だろう。



仮装大会

 ニューギニア戦線のオーストラリア軍のある将校の発案により、仮装大会に優勝した中隊には二週間の休暇を与える命令を出した。そのおかげか、仮装大会は大いに盛り上がり、優勝した中隊は喜んで帰郷した。
 ところが、二週間以上経っても誰一人として帰ってこなかった。


無知

 日本軍の真珠湾攻撃が成功したとき、ヒトラーは大喜びして取り巻きの軍事顧問に真珠湾がどこにあるのか質問した。しかし、誰一人として答えられる者がいなかった。


ライン川への放尿

 一九四五年、連合軍がライン川に達すると、将兵はドイツに対する侮蔑を表すため、ライン川に向かって放尿した。驚くべきことに、中にはウィンストン・チャーチルやジョージ・S・パットン将軍のような有名人も含まれていて、将兵の放尿をとがめるばかりか、自らが率先して悪乗りの模範を見せたらしい。
 敗北した枢軸軍側としては、
「こんなやつらに負けてしまったのか」
 と、今でも悔やみ切れない。


おならは敵機よりも手強し

 飛行機で高空を飛ぶと、気圧の関係から、腸内にたまったガスが膨張して飛行士に激痛を与える。ガスをおならとして外に出すには体力と気力を消耗し、ひどい場合には飛行士を死に至らしめる。
 解決策としては、ガスの発生源である豆やとうもろこし、キャベツなどを避けるしか方法がない。


参考文献
『第二次世界大戦 あんな話こんな話』 ジェイムズ・F・ダニガン アルバート・A・ノーフィ 著 大貫 昇 訳/文芸春秋



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