歩兵第三十連隊兵員の血液型と其統計的観察
(上越後地方人に於ける血液型分布状況)
(『犯罪学雑誌』より)


表紙

題名
犯罪学雑誌
著者

出版
犯罪学雑誌発行所

昭和七年九月一日印刷
昭和七年九月五日発行
備考
第六巻第三号


歩兵第三十連隊兵員の血液型と其統計的観察
(上越後地方人に於ける血液型分布状況)

陸軍三等軍医正 谷岡寿長
陸軍二等軍医 高倉永次

目次

一、緒言
二、血液型検査方法
三、検査成績
 1.各年次に於ける血液型の頻度と生物学的人種係数
 2.上越後地方に於ける血液型の地方的分布の概況
 3.上越後地方以外の他地方出身兵員の血液型分類
四、調査事項並に調査方法
五、調査成績
 (一)階級と血液型との関係
  1.上等兵と血液型との関係
  2.一等兵と血液型との関係
 (二)序列と血液型との関係
 (三)学術科と血液型との関係
 (四)銃剣術と血液型との関係
 (五)顔貌と血液型との関係
 (六)談話と血液型との関係
 (七)潔癖家にあらざるものと血液型の関係
 (八)態度と血液型との関係
 (九)操行と血液型との関係
六、結論
 (十)気質と血液型との関係
 (一一)嗜好と血液型との関係
 (一二)団体生活に興味を有せざる者と血液型との関係
 (一三)各血液型のものは如何なる血液型のものと最も親しきか
 (一四)体力保護兵と血液型との関係
 (一五)同朋数と血液型との関係
 (一六)出生順と血液型との関係
 (一七)弁色不全者と血液型との関係

***

一、緒言

 一九〇一年ランドスタイナー氏が人類の血液に三種あることを称へてより、血液型に関する知見は益々拡大せられ、其の応用著しく親展する至つた。例へば輸血と血液型、気質と血液型、病理と血液型乃至は疾病と血液型、遺伝と血液型其の他に於ても有益なる業績が続出せられつゝある。現今に於ては血液型がメンデル氏の法則によつて遺伝することに就ては最早異論なく、又最近ある一部の人々によつてCruppeにより凡そその性質を分つことを得と称さるゝに至つた。余等は茲に主として隊兵一、四二五名の血液を検査し各種の事項と血液型との関係を調査し得て茲に報告する。

二、血液型検査方法

 清拭せる載物硝子上の二箇所に混じない様に先づ一c.c.の皮下注射器を用ひて枸櫞酸曹達を一・五%の割に含有せる生理的食塩水を滴下し、それに夫々各別にA型及B型標準血清を夫々専用の一c.c.の皮下注射器を用ひて滴下し、次に被験者の耳朶を酒精消毒乾燥後穿刺し滴状に出る血液を他の載物硝子の両角に付着せしめ、之を各別に前記の血清及枸櫞酸加生理的食塩水の滴に混和し、前後左右に軽く動揺傾斜しつゝ肉眼を持つて約五分間を以て限度とし、血球凝集反応を検査し血液型を判定した。其の際仮性凝集に充分注意を払ひ尚判定困難なるものは反復実施した。
 検査に使用せる標準血清は高田衛戍病院長角田二等軍医正の厚意により金沢医大古畑博士より分与せられたものである。次で該血清により検定したA型及B型各十数名の血液を取り血清を分離し、各血液型毎に一つに混合し、減菌生理的食塩水を以て四倍に希釈し、之に各〇・五%の割合に石炭酸を添加し、標準血清を作製した。
 本検査は室温一五度以上の室内に於て実施する様に注意した。

三、検査成績

1、各年次に於ける血液型の頻度と生物学的人種係数

 検査総人員一、四二五名にして其の血液型の頻度はO型(四六二名)三二・四三%、A型(四九四名)三四・六七%、B型(三二〇名)二二・四五%、AB型(一四九名)一〇・四五%でその生物学的人種係数は一・三七である。
 年次別による血液型の頻度及生物学的人種係数左表の如くである。

(第一表)
年次/検査人員/血液型
O型
A型
B型
AB型
生物学的
人種係数
実数

実数

実数

実数

将校
下士
昭和四年徴集兵
昭和五年徴集兵
昭和六年徴集兵
昭和五年度幹部候補生
昭和六年度幹部候補生
昭和六年度補助看護兵
昭和七年度短期現役兵

二二
四五
二三三
二〇五
七五六
二九
四四
一五
七五
一、四二五

一四
七七
七五
二四五
一一


二二
四六二
二六・〇九
三一・一一
三三・〇五
三六・五九
三二・四一
三七・九三
一一・三六
四六・六七
二九・三三
三二・四三

一九
八一
六六
二六一
一〇
二〇

二六
四九四
三〇・四三
四二・二二
三四・七七
三二・一九
三四・五二
三四・四八
四五・四六
二六・六七
三四・六七
三四・六七

一〇
四六
四七
一七六

一〇

一六
三二〇
三九・一三
二二・二二
一九・七四
二二・九三
二三・二八
一〇・三五
二二・七三
二〇・〇〇
二一・三三
二二・四五


二九
一七
七四



一一
一四九
四・三五
四・四五
一二・四四
八・二九
九・七九
一七・二四
二〇・四五
六・六六
一四・六七
一〇・四五
〇・八〇
一・七五
一・四七
一・三二
一・三四
一・八八
一・五三
一・二五
一・三六
一・三七
備考
一、将校、下士、昭和四年徴集兵、昭和五年徴集兵、昭和五年度幹部候補生、昭和六年度補助看護兵は昭和六年十月十日乃至二十日間の、昭和六年徴集兵、昭和六年度幹部候補生は昭和七年二月二十日乃至三月三日の間に、昭和七年度短期現役兵は昭和七年四月四日に血液検査を実施した。
二、昭和四年徴集兵及昭和五年徴集兵は留守隊の者のみに実施した。
三、検査実施期間入院等の事故のため在営せざる者には実施しなかつた。

 年次別に於ける血液型の頻度は相当差異ありて、O型に於ては最多四六・六七%、最少一一・三六%、A型に於ては最多四五・四六%、最少二六・六七%、B型に於ては最多三九・一三%、最少一〇・三五%、AB型に於ては最多二〇・四五%、最少四・三五%である。
 生物学的人種係数に於ては最大一・八八、最小〇・八である。

2、上越後地方に於ける血液型の地方的分布の概況

 歩兵第三十連隊兵員の徴集区域は主として上越地方なるを以て上越地方に於ける血液型の地方的分布の概況を知らんとし、上越地方出身兵員一、三一三名の血液型を出身地方別(郡別)に分類し、左表の如き成績を得た。

(第二表)
都市別/検査人員/血液型
O型
A型
B型
AB型
生物学的
人種係数
実数

実数

実数

実数

西頸城
東頸城
高田市
南魚沼
中魚沼
北魚沼
刈羽
三島
中頸城

一一七
九一
五一
一〇九
一二三
一二一
二一〇
一五三
三三八
一、三一三
四四
三八
一五
三九
三六
四〇
五九
五二
一一三
四三六
三七・六一
四一・七六
二九・四一
三五・七八
二九・二七
三三・〇五
二八・〇九
三四・二三
三三・四三
三三・二六
三六
三〇
一六
二七
五二
四二
七七
四七
一一九
四四六
三〇・七七
三二・九七
三一・三七
二四・七七
四二・二八
三四・七一
三六・六七
三〇・二〇
三五・二一
三三・九七
二六
一五
一四
三〇
二一
二七
五二
三九
七四
二九八
二二・二二
一六・四八
二七・四五
二七・五二
一七・〇七
二二・三二
二四・七六
二五・五〇
二一・八九
二二・六四
一一


一三
一四
一二
二二
一五
三二
一三三

九・四〇
八・七九
一一・七七
一一・九三
一一・三八
九・九二
一〇・四八
一〇・〇七
九・四七
一〇・一三
一・二七
一・六五
一・一〇
〇・九三
一・八九
一・三八
一・三四
一・一七
一・四三
一・三四

 上越地方に於ける血液型の頻度はO型三三・二六%、A型三三・九七%、B型二二・六四%、AB型一〇・一三%を示し、生物学的人種係数は一・三四を示してゐる。
 之を先に新潟県に於て調査せられた宮路、長沢、石橋諸氏の成績に比較するに


検査人員
O型
A型
B型
AB型
人種係数
実数

実数

実数

実数

宮路
長沢
石橋
一、七八六
三、二二〇
三五五
五四〇
八九九
一一五
三二・二三
二八・〇〇
三二・三九
六七六
一、二八〇
一三二
三八・七五
三九・八〇
三七・一八
四〇一
七〇八
七一
二二・四五
二二・〇〇
二〇・〇〇
一六九
三三三
三七
九・四七
一〇・二一
一〇・四二
一・四八
一・五三
一・五六

 であつて余等の調査成績の生物学的人種係数一・三四は之等の成績よりやゝ少なき数字を示してゐるのである。
 郡市別に於ける血液型の頻度に於ては相当差異ありて、O型に於ては最多四一・七六%、A型に於ては最多四二・二八%、最少二四・七七%、B型に於ては最多二七・五二%、AB型に於ては最多一一・九三%、最少八・七九%である。
 生物学的人種係数に於ても相当差異ありて、最大一・八九、最小〇・九三を示した。

3、上越後地方以外の他地方出身兵員の血液型分類

 上越地方以外の他地方出身兵員一一二名を其の血液型に分類し、左表の如き成績を得た。

(第三表)
血液型/府県名
O型
A型
B型
AB型

血液型/府県名
O型
A型
B型
AB型

新潟(上越地方を除)
福島
長野
東京
山形
埼玉
三重
一八






二五
一三





一三






一〇






六六
二五





宮城
大分
熊本
茨城
山梨
京都







二六






四八






二二






一六






一一二

四、調査成績

 兵卒は年齢大差なく既得教育程度も亦尋常小学校卒業程度の者大半を占め、入営後は同一境遇のもとに略々同程度の教育を実施され居るに依り、各種の事項を調査するには好都合である。其の上各中隊幹部は日常之等兵卒と起居を共にし、兵卒の個々に対し態度に、気質に、其の他のものに就ても適当なる観察眼を有するものと思惟される。

1、調査事項並に調査方法

(一)イ、態度 ロ、談話 ハ、不潔を意とせざるものなるや否や ニ、気質 ホ、操行 ヘ、序列 ト、術科及学科
 右の各事項を調査のため左表の如き調査表其の一を印刷し各兵卒一枚宛とし、中隊幹部により適当なる欄に記入せしめた。

(二)イ、嗜好 ロ、同朋の数 ハ、出生順 ニ、最も親しき戦友の氏名 ホ、団体生活に興味を有するや否や
 右の事項を調査のため左表の如き調査表其の二を印刷し、各兵卒に一枚宛配布し、自ら各条項に適当なる記入をなさしめた。
 以上(一)(二)の調査は昭和六年十月留守隊初年兵、二年兵四一〇名に就き実施した。

(三)イ、階級
 昭和六年十月二十日現在に於ける初年兵及昭和六年十月二十三日除隊日現在に於ける二年兵四一〇名に就き調査した。
 ロ、顔貌
  留守隊初年兵及二年兵四一〇名に就き、月例検査等の如き機会ある毎に調査した。
 ハ、色神検査
  昭和七年一月入営した初年兵七五六名に就き同年二月二十五日実施した。
 ニ、体力保護兵
  昭和六年度徴集兵全員及び昭和四年、五年度徴集兵の留守隊に残留せるもの全員に就き調査した。

調査表其の一 氏名
1
態度
屈服、無頓着、不遜
従順、不行儀、反抗
2
談話
多弁、普通、寡言
3
衛生
不潔を意とせざるものなるや否や
4
気質
落着いて居る者
他人に無関心にて自分勝手に働く者
真面目に兵業を執る者
感情に激し易き者
厭世的の者
空想的の者
気分で働く者
楽天的の者
5
操行
序列
操行  序列  各中  番
6
学科
術科
学科   点 術科   点
最も適当なる所に記号及必要事項を記入せられたし

調査表其の二 氏名
1
読書を好むや
2
煙草を嗜むや
3
酒を飲むや
4
兄弟何人中何番目なるや
5
最も親しき戦友の氏名
6
団体生活に興味を有するや否や
右の各事項に就き適当なる記入をなせ

2、調査成績

(一)階級と血液型との関係
 角田、永山両氏が既に金沢の山砲兵第九連隊に於て調査したる結果に依ると、O型、B型に上等兵比較的多く、今度の調査に於ても左に示すが如く同様の成績を得て居る。
 イ、上等兵と血液型との関係
 昭和六年十一月二十三日除隊日現在に於て、除隊兵中上等兵六四名の血液型を分類し左表の如き成績を得た。

(第四表)
階級/調査人員/血液型
O型
A型
B型
AB型
実数

実数

実数

実数

上等兵
除隊兵総員
六四
二三二
二三
七七
三五・九四
(二九・八七)
三三・〇五
二一
八一
三二・八一
(二五・九三)
三四・七七
一三
四六
二〇・三一
(二八・二六)
一九・七四

二九
一〇・九四
(二四・一四)
一二・四四
備考 (  )内数字は上等兵の各血液型の実数と除隊兵総員の各血液型の実数と対比し、各血液型毎に求めたる百分比である。

 上等兵六四名中O型二三名(三五・九四%)、A型二一名(三二・八一%)、B型一三名(二〇・三一%)、AB型七名(一〇・九四%)にして、除隊兵総員の各血液型の%と比較すると、上等兵に於て

 除隊兵総員の血液型の%より多きもの     O型、B型
 除隊兵総員の血液型の%より少きもの     A型、AB型

 今上等兵の各血液型の実数と、除隊兵総員の各血液型のそれと対比し、各血液型毎に百分比を求むれば、上等兵のO型は除隊兵総員のO型の二九・八七%、A型は同じくそのA型の二五・九三%、B型は同様に二八・二六%、AB型も同様に二四・一四%に当り其の多き順位は

順位
第一位
第二位
第三位
第四位
血液型
O型
B型
A型
AB型

 ロ、一等兵と血液型との関係
 昭和六年十月二十日現在に於ては昭和五年度徴集兵(検査当時の初年兵)の成績相当に優秀なるものは一等兵である。其の一等兵九六名の血液型を分類し、左表の如き成績を得た。

(第五表)
階級/調査人員/血液型
O型
A型
B型
AB型
実数

実数

実数

実数

一等兵
一等兵と同年次兵総員
九六
二〇五
三三
七六
三四・三八
(四三・四二)
三七・〇七
三二
六六
三三・三三
(四八・四八)
三二・二〇
一五
四六
二六・〇四
(五四・三四)
二二・四〇

一七
六・二五
(三五・二九)
八・二九
備考 (  )内の数字は一等兵の各血液型の実数と、一等兵と同年次総員の各血液型の実数と対比し、各血液型毎に求めたる百分比である。

 一等兵九六名中O型三三名(三四・三八%)、A型三二名(三三・三三%)、B型二五名(二六・〇四%)、AB型六名(六・二五%)で、同年次兵総員の各血液型の%に比較すると、一等兵に於て

 同年次兵総員の血液型の%より多きもの     A型、B型
 同年次兵総員の血液型の%より少きもの     O型、AB型

 今一等兵の各血液型の人員を同年次兵総員の各血液型のそれと対比し、各血液型毎に百分比を求めると、一等兵のO型は同年次兵総員のO型の四三・四二%、A型は同様に四八・四八%、B型は五四・三四%、AB型は三五・二九%に当り其の多き順位は

順位
第一位
第二位
第三位
第四位
血液型
B型
A型
O型
AB型

(二)序列と血液型との関係
 留守隊初年兵二年兵四一〇名の序列を上位、中位、下位に三分し、その各々を血液型により分類し、左表の如き成績を得た。

(第六表)
序列/調査人員/血液型
O型
A型
B型
AB型
実数

実数

実数

実数

上位
中位
下位

一三七
一三九
一三四
四一〇
五〇
四七
四九
一四六
三六・四九
(三四・二五)
三三・八一
(三二・一九)
三六・五七
(三三・五六)
三五・六一
四二
五二
四一
一三五
三〇・六六
(三一・一一)
三七・四一
(三八・五二)
三〇・六〇
(三〇・三七)
三二・九三
三四
二八
二五
八七
二四・八二
(三九・〇八)
二〇・一五
(三二・一八)
一八・六五
(二八・七四)
二一・二二
一一
一二
一九
四二
八・〇三
(二六・一九)
八・六三
(二八・五七)
一四・一八
(四五・二四)
一〇・二四
備考 (  )内の数字は各序列の各血液型の実数と調査総人員の各血液型の実数とを対比し各血液型毎に求めたる百分比である。

 上位一三七名中O型五〇名(三六・四九%)、A型四二名(三〇・六六%)、B型三四名(二四・八二%)、AB型一一名(八・〇三%)
 中位一三九名中O型四七名(三三・八一%)、A型五二名(三七・四一%)、B型二八名(二〇・一五%)、AB型一二名(八・六三%)
 下位一三四名中O型四九名(三六・五七%)、A型四一名(三〇・六〇%)、B型二五名(一八・六五%)、AB型一九名(一四・一八%)

 にして、調査総人員の各血液型の%に比較すると次表の如くとなる。

比較/序列
上位に於て
中位に於て
下位に於て
調査人員の血液型の%より多きもの
調査人員の血液型の%より少なきもの
O型B型
A型AB型
A型
O型B型AB型
O型AB型
A型B型

 今上位、中位、下位の各血液型の実数と、調査総人員の各血液型のそれと対比し、各血液型毎に百分比を求めると、上位のO型は調査総人員のO型の三四・二五%、A型は同じく三一・一一%、B型は三九・〇八%、AB型は二六・一九%、中位に於ても同様にO型は三二・一九%、A型は同じく三八・五二%、B型は三二・一八%、AB型は二八・五七%、下位に於ても同様にO型は三三・五六%、A型は三〇・三七%、B型は二八・七四%、AB型四五・二四%に当り、上位、中位、下位に於ける各血液型の多き順位は

序列/順位
第一位
第二位
第三位
第四位
上位
中位
下位
B型
A型
AB型
O型
O型
O型
A型
B型
A型
AB型
AB型
B型

 各血液型毎に就いて観察するに、O型は上位に其の三四・二五%、中位に三二・一九%、下位に三三・五六%を占め、上位、中位、下位共其の%は殆ど大差ない。A型は上位に其の三一・一一%、中位に三八・五二%、下位に三〇・三七%を占め、中位に最も多く、上位、下位殆んど大差ない。B型は上位に其の三九・〇八%、中位に三二・一八%、下位に二八・七四%を占め、上位に最も多く中位之に亜ぎ多い。下位最も少ない。AB型は上位に於て其の二六・一九%、中位に於て二八・五七%、下位に於て四五・二四%を占め、下位に最も多く、中位之に亜ぎ、上位最も少ない。以上を総合するに、B型最も序列良くO型、A型之に亜ぎAB型最も悪い様である。

(三)学科及術科と血液型との関係
 各中隊に就き調査した初年兵二年兵四一〇名の学科と術科の成績を比較し、学科優れる者、術科優れる者、学科術科同程度の者の三つに分ち之を血液型に分類し、左表の如き成績を得た。

(第七表)
学術科/調査人員/血液型
O型
A型
B型
AB型
実数

実数

実数

実数

学科優れる者
術科優れる者
学科術科同程度の者

一〇一
八六
二二三
四一〇
三六
三三
七七
一四六
三五・六五
(二四・六六)
三八・三七
(二二・六〇)
三四・五三
(五二・七四)
三五・六一
二四
二九
八二
一三五
二三・七六
(一七・七八)
三三・七二
(二一・四八)
三六・七七
(六〇・七四)
三二・九三
二七
一五
四五
八七
二六・七三
(三一・〇四)
一七・四四
(一七・二四)
二〇・一八
(五一・七二)
二一・二二
一四

一九
四二
一三・八六
(三三・三三)
一〇・四七
(二一・四三)
八・五二
(四五・二四)
一〇・二四
備考 (  )内数字は学科優れる者、術科優れる者、学術科同程度の者の各血液型の実数と調査総人員の各血液の実数と対比し、各血液型毎に求めた百分比である。

 学科優れる者一〇一名中O型三六名(三五・六五%)、A型二四名(二三・七六%)、B型二七名(二六・七三%)、AB型一四名(一三・八六%)、術科優れる者八六名中O型三三名(三八・三七%)、A型二九名(三三・七二%)、B型一五名(一七・四四%)、AB型九名(一〇・四七%)、学科術科同程度の者二二三名中O型七七名(三四・五三%)、A型八二名(三六・七七%)、B型四五名(二〇・一八%)、AB型一九名(八・五二%)にして、調査総人員の各血液型の%と比較すると

比較/学科術科
学科優れるものに於て
術科優れるものに於て
学科術科同程度のものに於て
調査総人員の血液型の%より多きもの
調査総人員の血液型の%より少きもの
調査総人員の血液型の%より大差なきもの
B型AB型
A型
O型
O型A型
B型
AB型
A型
O型B型AB型


 今学科優れる者、術科優れる者、学術科優れる者の各血液型の実数と、調査総人員の各血液のそれと対比し、各血液型毎に百分比を求むれば、学科優れる者に於て、O型は調査総人員のO型の二四・六六%、A型は同じく一七・七八%、B型は三一・〇四%、AB型は三三・三三%、術科優れる者に於ても同様にO型二二・六〇%、A型二一・四八%、B型一七・二四%、AB型二一・四三%、学術科同程度の者に於ても同様にO型五二・七四%、A型六〇・七四%、B型五一・七二%、AB型四五・二四%に当り、各多き順位は

学術科/順位
第一位
第二位
第三位
第四位
学科優れる者
術科優れる者
学術科同程度の者
AB型
O型
A型
B型
A型
O型
O型
AB型
B型
A型
B型
AB型

 である。

(四)銃剣術と血液型との関係
 昭和六年九月二十一日留守隊剣術競技会に於ける試合中、血液型の異なりたる者の対抗せる試合七〇七組に就き、其の成績を調査し、左表の如き成績を得た。

(第八表)
相手方/血液型
O型
A型
B型
AB型
試合数
勝本数
勝率
試合数
勝本数
勝率
試合数
勝本数
勝率
試合数
勝本数
勝率
O型
A型
B型
AB型


二三七
一六四
七〇
四七一

一一〇・〇
一〇〇・五
二八・〇
二三八・五

四六・四一
六一・二八
四〇・〇〇
五一・〇六
二三七

一三四
六五
四三六
一二七・〇

六九・五
二四・〇
二二〇・五
五三・三九

五一・八七
三六・九二
五〇・五七
一六四
一三四

三七
三三五
六三・五
六四・五

一九・〇
一四七・〇
三八・七三
四八・一三

五一・三五
四三・八八
七〇
六五
三七

一七二
四二・〇
四一・〇
一八・〇

一〇一・〇
六〇・〇〇
六三・〇八
四八・六五

五八・七三
備考 一本勝負にして引分は両者勝本数〇・五とした。

 O型はB型に対して勝率よく六一・二八%、A型、AB型に対して悪く四六・四一%、四〇・〇〇%である。A型はO型、B型に対して勝率よく五三・三九%、五一・八七%にして、AB型に対しては悪く三六・九二%である。B型はAB型に対して勝率よく五一・三五%にしてO型、A型に対しては悪く其の勝率は三八・七二%、四八・一二%である。
 AB型はO型、A型に対して勝率良く六〇・〇〇%、六三・〇八%にして、B型に対しては悪く其の勝率四八・六五%、総体に於てO型は勝率五一・〇六%、A型五〇・五七%、B型四三・八八%、AB型五八・七二%にして其の勝率の順位は

順位
第一位
第二位
第三位
第四位
血液型
AB型
O型
A型
B型

 である。

(五)顔貌と血液型との関係
 兵卒の顔貌を爽快と思はしむるもの、憂鬱状を呈するもの、無表情と思惟さるゝものゝ三つに大別し爽快とも憂鬱とも判定出来ざる者は無表情中に算入する如くし月例検査等の機会ある毎に直接兵個々に就き調査し、それを血液型に分類し左表の如き成績を得た。

(第九表)
顔貌/調査人員/血液型
O型
A型
B型
AB型
実数

実数

実数

実数

爽快と思はしむるもの
憂鬱状を呈するもの
無表情と思惟さるるもの

二二七
七六
一〇七
四一〇
七九
二七
四〇
一四六
三四・八〇
(五四・一一)
三五・五二
(一八・四九)
三七・三八
(二七・四〇)
三五・六一
七七
二九
二九
一三五
三三・九二
(五七・〇四)
三八・一六
(二一・四八)
二七・一二
(二一・四八)
三二・九三
五六
一二
一九
八七
二四・六七
(六四・三七)
一五・七九
(一三・七九)
一七・七五
(二一・八四)
二一・二二
一五

一九
四二
六・六一
(三五・七一)
一〇・五三
(一九・〇五)
一七・七五
(四五・二四)
一〇・二四
備考 (  )内の数字は各顔貌の各血液型の実数と調査総人員の各血液型の実数とを対比し各血液型毎に求めた百分比である。

 爽快と思はるゝもの二二七名中O型七九名(三四・八〇%)、A型七七名(三三・九二%)、B型五六名(二四・六七%)、AB型一五名(六・六一%)、憂鬱と思はれるもの七六名中O型二七名(三五・五二%)、A型二九名(三八・一六%)、B型一二名(一五・七九%)、AB型八名(一〇・五三%)、無表情と思はれるもの一〇七名中O型四〇名(三七・三八%)、A型二九名(二七・一二%)、B型一九名(一七・七五%)、AB型一九名(一七・七五%)にして調査総人員の各血液型の%と比較すると

比較/顔貌
爽快と思はれるものに於て
憂鬱と思はれるものに於て
無表情と思はれるものに於て
調査総人員の血液型の%より多きもの
調査総人員の血液型の%より少なきもの
調査総人員の血液型の%より大差なきもの
A型B型
O型AB型

A型
B型
O型AB型
O型AB型
A型B型


 今爽快と思はしむるもの、憂鬱状を呈するもの、無表情と思惟さるゝものゝ、各血液型の実数と調査総人員の各血液型の実数と対比し、百分比を各血液型毎に求むれば、爽快と思はしむるものゝO型は調査総人員のO型の五四・一一%、A型は同じく五七・〇四%、B型は六四・三七%、AB型は三五・七一%、憂鬱状を呈するものに於ても同様にO型一八・四九%、A型二一・四八%、B型一三・七九%、AB型一九・〇五%、無表情と思惟されるものに於ても同様にO型二七・四〇%、A型二一・四八%、B型二一・八四%、AB型四五・二四%に当り其の多き順位は

顔貌/順位
第一位
第二位
第三位
第四位
爽快と思はしむるもの
憂鬱状を呈するもの
無表情と思惟さるるもの
B型
A型
AB型
A型
AB型
O型
O型
O型
B型
AB型
B型
A型

 である。

(六)談話と血液型との関係
 兵卒の談話の程度を多弁と思はれるもの、普通と思はれるもの、寡言と思はれるものゝ三つに分ち調査表其の一により調査した留守隊初年兵二年兵四一〇名のそれを、血液型に分類し左表の如き成績を得た。

(第十表)
談話/調査人員/血液型
O型
A型
B型
AB型
実数

実数

実数

実数

多弁と思はれるもの
普通と思はれるもの
寡言と思はれるもの

一六七
四六
一九七
四一〇
五二
一四
八〇
一四六
三一・一四
(三五・六二)
三〇・四三
(九・五九)
四〇・六一
(五四・七九)
三五・六一
五九
一六
六〇
一三五
三五・三三
(四三・七〇)
三四・七八
(一一・八五)
三〇・四六
(四四・四五)
三二・九三
四〇

三八
八七
二三・九五
(四五・九八)
一九・五七
(一〇・三四)
一九・二九
(四三・六八)
二一・二二
一六

一九
四二
九・五八
(三八・〇九)
一五・二二
(一六・六七)
九・六四
(四五・二四)
一〇・二四
備考 (  )内の数字は多弁と思はれるもの、普通と思はれるもの、寡言と思はれるものの各血液型の実数と調査総人員の各血液型の実数と対比し、各血液型毎に求めた百分比である。

 多弁と思はれるもの一六七名中O型五二名(三一・一四%)、A型五九名(三五・三三%)、B型四〇名(二三・九五%)、AB型一六名(九・五八%)、普通と思はれるもの四六名中O型一四名(三〇・四三%)、A型一六名(三四・七八%)、B型九名(一九・五七%)、AB型七名(一五・二二%)、寡言と思はれるもの一九七名中O型八〇名(四〇・六一%)、A型六〇名(三〇・四六%)、B型三八名(一九・二九%)、AB型一九名(九・六四%)にして調査総人員の各血液型の%と比較すると

比較/談話
多弁と思はれるものに於て
普通と思はれるものに於て
寡言と思はれるものに於て
調査総人員の血液型の%より多きもの
調査総人員の血液型の%より少きもの
A型B型
O型AB型
A型AB型
O型B型
O型
A型B型AB型

 である。
 今多弁と思はれるもの、普通と思はれるもの、寡言と思はれるものゝ各血液型の実数と、調査総人員の各血液型の実数とを対比し、各血液型毎に百分比を求むれば多弁と思はれるものゝO型は調査総人員のO型の三五・六二%、A型は同じく四三・七〇%、B型は四五・九八%、BA型は三八・〇九%、普通と思はれるものに於ても同様にO型九・五九%、A型一一・八五%、B型一〇・三四%、BA型一六・六七%、寡言と思はれるものに於ても同様にO型五四・七九%、A型四四・四五%、B型四三・六八%、AB型四五・二四%に当り其の多き順位は

談話/順位
第一位
第二位
第三位
第四位
多弁と思はれるもの
普通と思はれるもの
寡言と思はれるもの
B型
AB型
O型
A型
A型
AB型
AB型
B型
A型
O型
O型
B型

 である。

(七)不潔を意とせざる者と血液型との関係
 留守隊初年兵二年兵四一〇名中不潔を意とせざる者五六名を血液型に分類し、左表の如き成績を得た。潔癖家と不潔を意とせざる中間に属すと思はれるものは潔癖家の中に算入した。

(第一一表)
潔癖家か否か/調査人員/血液型
O型
A型
B型
AB型
実数

実数

実数

実数

不潔を意とせざるもの
調査総人員
五六
四一〇
一八
一四六
三二・一四
(一二・三三)
三五・六一
一九
一三五
三三・九三
(一四・〇七)
三二・九二
一四
八七
二五・〇〇
(一六・〇九)
二一・二二

四二
八・九三
(一一・九〇)
一〇・二四
備考 (  )内の数字は不潔を意とせざるもの各血液型の実数と調査総人員の各血液型の実数と対比し各血液型毎に求めた百分比である。

 不潔を意とせざるもの五六名中O型一八名(三二・一四%)、A型一九名(三三・九三%)、B型一四名(二五・〇〇%)、AB型五名(八・九三%)にして調査総人員の各血液型の%と比較すると

 調査総人員の血液型の%より多きもの     A型、B型
 調査総人員の血液型の%より少なきもの     O型、AB型

 今不潔を意とせざるものゝ各血液型の人員と、調査総人員の各血液型の人員とを対比し、各血液型毎に百分比を求むれば、不潔を意とせざるものゝO型は調査総人員のO型の一二・三三%、A型は同じく一四・〇七%、B型は同じく一六・〇九%、AB型は一一・九〇%に当り、其の多き順位は

順位
第一位
第二位
第三位
第四位
血液型
B型
A型
O型
AB型

(八)態度と血液型との関係
 兵の態度は凡そ屈服、従順、無頓着、不行儀、不遜、反抗の六つの中に包括されるであらう。
留守隊初年兵二年兵四一〇名の態度を調査表其の一により調査し血液型に分類し、左表の如き成績を得た。

(第十二表)
態度/調査人員/血液型
O型
A型
B型
AB型
実数

実数

実数

実数

屈服と思はるるもの
従順なる者
無頓着なる者
不行儀なる者
不遜と思はるもの
反抗心強いと思はるもの
七五
一七一
四八
三三
五二
三一
四一〇
二八
五三
一七
一二
二一
一五
一四六
三七・三四
(一九・一八)
三〇・九九
(三六・三〇)
三五・四二
(一一・六四)
三六・三七
(八・二二)
四〇・三八
(一四・三九)
四八・三九
(一〇・二七)
三五・六一
二二
六六
一四
一一
一三

一三五
二九・三三
(一六・二九)
三八・六〇
(四八・八九)
二九・一七
(一〇・三七)
二三・三三
(八・一五)
二五・〇〇
(五・六三)
二九・〇三
(六・六七)
三二・九二
一八
三六
一一

一二

八七
二四・〇〇
(二〇・六九)
二一・〇五
(四一・三八)
二二・九一
(一二・六四)
一五・一五
(五・七五)
二三・〇八
(一三・七九)
一六・一三
(五・七五)
二一・二二

一六




四二
九・三三
(一六・六七)
九・三六
(三八・一〇)
一二・五〇
(一四・二九)
一五・一五
(二・二九)
一一・五四
(一四・二八)
六・四五
(四・七六)
一〇・二四
備考 (  )内の数字は各態度の各血液型の実数と調査総人員の各血液型のそれと対比し、各血液型毎に求めた百分比である。

 屈服と思はれるもの七五名中O型二八名(三七・三四%)、A型二二名(二九・三三%)、B型一八名(二四・〇〇%)、AB型七名(九・三三%)、従順なる者一七一名中O型五三名(三〇・九九%)、A型六六名(三八・六〇%)、B型三六名(二一・〇五%)、AB型一六名(九・三六%)、無頓着なる者四八名中O型一七名(三五・四二%)、A型十四名(二九・一七%)、B型一一名(二二・九一%)、AB型六名(一二・五〇%)、不行儀なる者三三名中O型一二名(三六・三七%)、A型一一名(三三・三三%)、B型五名(一五・一五%)、AB型五名(一五・一五%)、不遜と思はれるものゝ五二名中O型二一名(四〇・三八%)、A型一三名(二五・〇〇%)、B型一二名(二三・〇八%)、AB型六名(一一・五四%)、反抗心強いと思はるゝ者三一名中O型一五名(四八・三九%)、A型九名(二九・〇三%)、B型五名(一六・一三%)、AB型二名(六・四五%)で調査総人員の各血液型の%と比較するに

比較/態度
屈服と思はれる者に於て
従順なる者に於て
無頓着なる者に於て
不行儀なる者に於て
不遜と思はれる者に於て
反抗心が強いと思はれる者
調査総人員の血液型の%より多きもの
調査総人員の血液型の%より少きもの
調査総人員の血液型の%と大差なきもの
O型B型
A型AB型

A型
O型AB型
B型
B型AB型
A型
O型
O型A型AB型
B型


O型B型AB型
A型


O型
A型B型AB型


 である。
 今各態度の各血液型の実数と調査総人員の各血液型の実数とを対比し、各血液型毎に百分比を求めると、屈服と思はれる者のO型は調査総人員のO型の一九・一八%、A型は同じく一六・二九%、B型は二〇・六九%、AB型は一六・六七%、従順なる者に於ても同様にO型三六・三〇%、A型四八・八九%、B型四一・三八%、AB型三八・一〇%、無頓着なる者に於ても同様にO型一一・六四%、A型一〇・三七%、B型一二・六四%、AB型一四・二九%、不行儀なる者に於ても同様にO型八・二二%、A型八・一五%、B型五・七五%、AB型一一・二九%、不遜と思はれる者に於ても同様にO型一四・三九%、A型九・六三%、B型一三・七九%、AB型一四・二八%、反抗心強きと思はれる者に於ても同様にO型一〇・二七%、A型六・六七%、B型五・七五%、AB型四・七六%に当り、その多き順位は

態度/順位
第一位
第二位
第三位
第四位
屈服と思はれる者
従順なる者
無頓着なる者
不行儀なる者
不遜と思はれる者
反抗心強きと思はれる者
B型
A型
AB型
AB型
O型
O型
O型
B型
B型
O型
AB型
A型
AB型
AB型
O型
A型
B型
B型
A型
O型
A型
B型
A型
AB型

 となる。

(九)操行と血液型との関係
 留守隊初年兵、二年兵四一〇名の操行を正、普通、不良の三つの程度に区分し、それを血液型に分類し、左表の如き成績を得た。

第十三表
操行/調査人員/血液型
O型
A型
B型
AB型
実数

実数

実数

実数

正なる者
普通なる者
不良なる者

二二七
一四〇
四三
四一〇
七九
五二
一五
一四六
三四・八〇
(五四・一一)
三七・一四
(三五・六二)
三四・八九
(一〇・二七)
三五・六一
七七
四五
一三
一三五
三三・九二
(五七・〇四)
三二・一四
(三三・三三)
三〇・二三
(九・六三)
三二・九二
五二
二六

八七
二二・九一
(五九・七七)
一八・五七
(二九・八九)
二〇・九三
(一〇・三四)
二一・二二
一九
一七

四二
九・三七
(四五・二四)
一二・一五
(四〇・四八)
一三・九五
(一四・二八)
一〇・二四
備考 (  )内の数字は正、普通、不良の各血液型の実数と調査総人員の各血液型のそれと対比し、各血液型毎に求めた百分比である。

 操行正なる者二二七名中O型七九名(三四・八〇%)、A型七七名(三三・九二%)、B型五二名(二二・九一%)、AB型一九名(九・三七%)、操行普通なる者一四〇名中O型五二名(三七・一四%)、A型四五名(三二・一四%)、B型二六名(一八・五七名)、AB型一七名(一二・一五%)、操行不良なる者四三名中O型一五名(三四・八九%)、A型一三名(三〇・二三%)、B型九名(二〇・九三%)、AB型六名(一三・九五%)にして調査総人員の各血液型の%と比較すると

操行正なる者に於て 操行普通なる者に於て 操行不良なる者に於て
調査総人員の血液型の%より多きもの
調査総人員の血液型の%より少なきもの
調査総人員の血液型の%より大差なきもの
A型B型
O型AB型

O型AB型
B型
A型
AB型
O型A型B型


 である。
 今操行正なる者、普通なる者、不良なる者の各血液型の実数と調査総人員の各血液型の実数と対比し、各血液型毎に百分比を求めると、操行正なる者のO型は調査総人員のO型の五四・一一%、A型は同じく五七・〇四%、B型は五九・七七%、AB型は四五・二四%、操行普通なる者に於ても同様にO型三五・六二%、A型三三・三三%、B型二九・八九%、AB型四〇・四八%、操行不良なる者に於ても同様にO型一〇・二七%、A型九・六三%、B型一〇・三四%、AB型一四・二八%に当り、其の多き順位は次表の如くである。

操行/順位
第一位
第二位
第三位
第四位
正なる者
普通なる者
不良なる者
B型
AB型
AB型
A型
O型
B型
O型
A型
O型
AB型
B型
A型

(一〇)気質と血液型との関係
 兵の気質を落着いてゐる者、他人に無関心で自分勝手で働くもの、真面目に兵業に従事する者、感情に激し易き者、厭世的のもの、空想的の者、気分で働く者、楽天的の者の八つに分ち、調査表其の一により留守隊初年兵、二年兵四一〇名の気質を調査し、それを血液型に分類し左表の如き成績を得た。

第十四表
気質/調査人員/血液型
O型
A型
B型
AB型
実数

実数

実数

実数

落ち着いてゐる者
他人に無関心で自分勝手に働くもの
真面目に兵業を執る者
感情に激し易き者
厭世的の者
空想的の者
気分で働く者
楽天的の者

一〇五
三〇
一一〇
二六
一一
一六
五〇
六二
四一〇
三七
一三
四一



一四
一九
一四六
三五・二四
(二五・三四)
四三・三四
(八・九〇)
三七・二七
(二八・〇八)
二六・九二
(四・八〇)
六三・六四
(四・八〇)
五〇・〇〇
(五・四八)
二八・〇〇
(九・五九)
三〇・六五
(一三・〇一)
三五・六一
三六
一〇
三一
一二


一八
二一
一三五
三四・二九
(二六・六七)
三三・三三
(七・四一)
二八・一八
(二二・九六)
四六・一五
(八・八九)
一八・一八
(一・四八)
三一・二五
(三・七〇)
三六・〇〇
(一三・三二)
三三・八七
(一五・五六)
三二・九二
二二

二六



一一
一七
八七
二〇・九五
(二五・二八)
一〇・〇〇
(三・四五)
二三・六四
(二九・八九)
一五・三九
(四・六〇)
一八・一八
(二・三〇)
一二・五〇
(二・三〇)
二二・〇〇
(一二・六四)
二七・四二
(一九・五四)
二一・二二
一〇

一二





四二
九・五二
(二三・八一)
一三・三三
(九・五三)
一〇・九一
(二八・五七)
一一・五四
(七・一四)

六・二五
(二・三八)
一四・〇〇
(一六・六七)
八・〇六
(一一・九〇)
一〇・二四
備考 (  )内の数字は各気質の各血液型の実数と調査総人員の各血液型の実数とを対比し各血液型毎に求めた百分比である。

 落着てゐる者一〇五名中O型三七名(三五・二四%)、A型三六名(三四・二九%)、B型二二名(二〇・九五%)、AB型一〇名(九・五二%)、他人に無関心で自分の勝手に働く者三〇名中O型一三名(四三・三四%)、A型一〇名(三三・三三%)、B型三名(一〇・〇〇%)、AB型四名(一三・三三%)、真面目に兵業を執る者一一〇名中O型四一名(三七・二七%)、A型三一名(二八・一八%)、B型二六名(二三・六四%)、AB型一二名(一〇・九一%)、感情に激し易き者二六名中O型七名(二六・九二%)、A型一二名(四六・一五%)、B型四名(一五・三九%)、AB型三名(一一・五四%)、厭世的の者一一名中O型七名(六三・六四%)、A型二名(一八・一八%)、B型二名(一八・一八%)、AB型なし。空想的の者一六名中O型八名(五〇・〇〇%)、A型五名(三一・二五%)、B型二名(一二・五〇%)、AB型一名(六・二五%)、気分で働く者五〇名中O型一四名(二八・〇〇%)、A型一八名(三六・〇〇%)、B型一一名(二二・〇〇%)、AB型七名(一四・〇〇%)、楽天的の者六二名中O型一九名(三〇・六五%)、A型二一名(三三・八七%)、B型一七名(二七・四二%)、AB型五名(八・〇六%)にして調査総人員の各血液型の%と比較すると

比較/気質
落着いてゐるもの
他人に無関心で自分勝手に働くもの
真面目に働くもの
感情に激し易き者
厭世的の者に於て
空想的の者に於て
気分で働く者に於て
楽天的の者に於て
調査総人員の血液型の%より多きもの
調査総人員の血液型の%より少きもの
総人員の血液型の%と大差なきもの
A型
AB型
O型B型
O型A型AB型
B型

O型B型
A型
AB型
A型AB型
O型B型

O型
A型B型

O型
A型B型AB型

A型B型AB型
O型

A型B型
O型AB型


 今各気質のものゝ各血液型の実数と調査総人員の各血液型の実数とを対比し、各血液型毎に百分比を求むれば、着実なる者のO型は調査総人員のO型の二五・三四%、A型は同じく二六・六七%、B型は同じく二五・二八%、AB型は二三・八一%、他人に無関心で自分勝手に働く者に於ても同様にO型は八・九〇%、A型七・四一%、B型三・四五%、AB型九・五三%、真面目に兵業を執る者に於てもO型二八・〇八%、A型二二・九六%、B型二九・八九%、AB型二八・五七%、感情に激し易きものに於ても同様にO型四・八〇%、A型八・八九%、B型四・六〇%、AB型七・一四%、厭世的の者に於ても同様にO型四・八〇%、A型一・四八%、B型二・三〇%、空想的の者に於ても同様にO型五・四八%、A型三・七〇%、B型二・三〇%、AB型二・三八%、気分で働く者に於ても同様にO型九・五九%、A型一三・三二%、B型一二・六四%、AB型一六・六七%、楽天的に活動する者に於ても同様にO型一三・〇一%、A型一五・五六%、B型一九・五四%、AB型一一・九〇%に当り、其の多き順位は

気質/順位
第一位
第二位
第三位
第四位
落ち着いてゐる者
他人に無関心で自分勝手に働くもの
真面目に兵業を執る者
感情に激し易き者
厭世的の者
空想的の者
気分で働く者
楽天的の者
A型
AB型
B型
A型
O型
O型
AB型
B型
O型
O型
AB型
AB型
B型
A型
A型
A型
B型
A型
O型
O型
A型
AB型
B型
O型
AB型
B型
A型
B型

B型
O型
AB型

(二)嗜好及趣味と血液型との関係
 酒、煙草、読書の三つに就きて留守隊初年兵、二年兵四一〇名に対し調査し、血液型に分類し左表の如き成績を得た。

第十五表
嗜好及趣味/調査人員/血液型
O型
A型
B型
AB型
実数

実数

実数

実数

酒を飲む者
煙草を嗜む者
読書を好む者
調査総人員
二三六
二八〇
三三八
四一〇
七七
九九
一二〇
一四六
三二・六三
(五三・四二)
三五・三六
(六七・七九)
三五・五六
(八二・〇五)
三五・六一
八七
九四
一一二
一三五
三六・八六
(六四・四四)
三三・五七
(六九・六三)
三三・一四
(八二・九六)
三二・九二
四五
五四
七一
八七
一九・六八
(五一・七二)
一九・九二
(六二・〇七)
二一・〇一
(八一・六一)
二一・二二
二七
三三
三五
四二
一一・四四
(六四・二九)
一一・七八
(七八・五七)
一〇・三五
(八三・三三)
一〇・二四
備考 (  )内の数字は酒を飲む者、煙草を嗜む者、読書を好む者の各血液型の実数と調査総人員の各血液型の実数と対比し各血液型毎に求めた百分比である。

 酒を飲む者二三六名中O型七七名(三二・六三%)、A型八七名(三六・八六%)、B型四五名(一九・六八%)、AB型二七名(一一・四四%)、煙草を嗜む者二八〇名中O型九九名(三五・三六%)、A型九四名(三三・五七%)、B型五四名(一九・九二%)、AB型三三名(一一・七八%)、読書を好む者三三八名中O型一二〇名(三五・五六%)、A型一一二名(三三・一四%)、B型七一名(二一・〇一%)、AB型三五名(一〇・三五%)にして調査総人員の各血液型の%と比較するに

比較/嗜好
酒を飲む者に於て
煙草を嗜む者に於て
読書を好む者に於て
調査総人員の血液型の%より多きもの
調査総人員の血液型の%より少なきもの
調査総人員の血液型の%と大差なきもの
A型AB型
O型B型

A型AB型
B型
O型
A型

O型B型AB型

 となる。
 今酒を飲む者、煙草を嗜む者、読書を好む者の各血液型の実数と調査総人員の各血液型の実数とを対比し、各血液型毎に百分比を求むれば、酒を飲む者のO型は調査総人員のO型の五三・四二%、A型は同じく六四・四四%、B型は同じく五一・七二%、AB型は同じく六四・二九%、煙草を好む者に於ても同様にO型六七・七九%、A型六九・六三%、B型六二・〇七%、AB型七八・五七%、読書を好む者に於ても同様にO型八二・〇五%、A型八二・九六%、B型八一・六一%、AB型八三・三三%に当り、其の多き順位は

嗜好/順位
第一位
第二位
第三位
第四位
酒を飲む者
煙草を嗜む者
読書を好む者
A型
AB型
AB型
AB型
A型
A型
O型
O型
B型
B型
B型
O型

 となる。

(三)団体生活に興味を有せざる者と血液型との関係
 団体生活に興味を有するや否やを留守隊初年兵、二年兵四一〇名に就き調査し、団体生活に興味を有せざるものを血液型に分類し、左表の如き成績を得た。

第十六表
団体生活に興味を有するや否や/調査人員/血液型
O型
A型
B型
AB型
実数

実数

実数

実数

団体生活に興味を有せざる者
調査総人員
一九
四一〇
一〇
一四六
五二・六三
(六・八五)
三五・六一

一三五
二一・〇五
(二・九六)
三二・九二

八七
五・二七
(一・二八)
二一・二二

四二
二一・〇五
(九・五二)
一〇・二四
備考 (  )内の数字は団体生活に興味を有せざるものの各血液型の実数と調査総人員の各血液型のそれと対比し各血液型毎に求めた百分比である。

 団体生活に興味を有せざる者一九名中O型一〇名(五二・六三%)、A型四名(二一・〇五%)、B型一名(五・二七%)、AB型四名(二一・〇五%)にして調査総人員の各血液型の%と比較すると団体生活に興味を有せざる者に於て

調査総人員の血液型の%より多きもの
調査総人員の血液型の%より少なきもの
O型AB型
A型B型

 となる。
 今団体生活に興味を持たない者の各血液型の実数と調査総人員の各血液型のそれと対比し、各血液型毎に百分比を求めると団体生活に興味を有せざる者のO型は調査総人員のO型の六・八五%、A型は二・九六%、B型は一・二八%、AB型は九・五二%に当り其の多き順位は

順位
第一位
第二位
第三位
第四位
血液型
AB型
O型
A型
B型

(一三)各血液のものは如何なる血液型のものと最も親しくするか
 留守隊初年兵、二年兵四一〇名の一番親しき戦友の氏名を調査し、それを血液型に分類した左表の如き成績を得た。

第十七表
親しき戦友の血液型/調査人員/血液型
O型
A型
B型
AB型
実数

実数

実数

実数

O型のものと親しきもの
A型のものと親しきもの
B型のものと親しきもの
AB型のものと親しきもの
皆好きと云ふもの
親しき戦友なしと云ふもの
不明なりと云ふもの

一三〇
一二五
七二
四四

一〇
二三
四一〇
五二
三七
二八
一五



一四六
四〇・〇〇
(三五・六二)
二九・六〇
(二五・三四)
三八・八九
(一九・一八)
三四・一〇
(一〇・二七)
三三・三三
(一・三七)
三四・七八
(五・四八)
三四・七八
(五・四八)
三五・六一
三九
四六
二一
一七



一三五
三〇・〇〇
(二八・八九)
三六・八〇
(三四・〇八)
二九・一七
(一五・五六)
三八・六三
(一二・五九)
五〇・〇〇
(二・三二)
一〇・〇〇
(一・二一)
二六・〇九
(四・四四)
三二・九二
二五
二六
二〇




八七
一九・二三
(二八・七四)
二〇・八〇
(二九・八九)
二七・七八
(二二・九九)
一八・一八
(九・一九)
一六・六七
(一・一五)
三〇・〇〇
(三・四〇)
一七・三九
(四・六〇)
二一・二二
一四
一六





四二
一〇・七七
(三三・三三)
一二・八〇
(三八・一〇)
四・一六
(七・一四)
九・〇九
(九・五二)


二一・七四
(一一・九一)
一〇・二四
備考 (  )内の数字はO型A型B型AB型の戦友と親しき者の各血液型の実数と調査人員の各血液型のそれと対比し各血液型毎に集めた百分比である。

 O型と親しきもの一三〇名中O型五二名(四〇・〇〇%)、A型三九名(三〇・〇〇%)、B型二五名(一九・二三%)、AB型一四名(一〇・七七%)、A型と親しきもの一二五名中O型三七名(二九・六〇%)、A型四六名(三六・八〇%)、B型二六名(二〇・八〇%)、AB型一六名(一二・八〇%)、B型と親しきもの七二名中O型二八名(三八・八九%)、A型二一名(二九・一七%)、B型二〇名(二七・七八%)、AB型三名(四・一六%)、AB型と親しき者四四名中O型一五名(三四・一〇%)、A型一七名(三八・六三%)、B型八名(一八・一八%)、AB型四名(九・〇九%)にして調査総人員の各血液型の%と比較すると

比較/親しき戦友の血液型
O型の戦友と親しきものに於て
A型の戦友と親しきものに於て
B型の戦友と親しきものに於て
AB型の戦友と親しきものに於て
調査総人員の血液型の%より多きもの
調査総人員の血液型の%より少なきもの
O型AB型
A型B型
A型AB型
O型B型
O型B型
A型AB型
A型
O型B型AB型

 今O型と親しきもの、A型と親しきもの、B型と親しきもの、AB型と親しきものゝ各血液型の実数と調査総人員の各血液型の実数と対比し各血液型毎に百分比を求むれば、O型の戦友と親しき者のO型は調査総人員のO型の三五・六二%、A型は同じく二八・八九%、B型は二八・七四%、AB型は一〇・七七%、A型の戦友と親しきものに於ても同様にO型は二五・三四%、A型は三四・〇八%、B型は二九・八九%、AB型は二八・一〇%、B型の戦友と親しきものに於ても同様にO型一九・一八%、A型一五・五六%、B型二二・九九%、AB型七・一四%、AB型の戦友と親しきものに於ても同様にO型一〇・二七%、A型一二・五九%、B型九・五二%に当り其の多き順位は

最も親しき戦友の血液型/順位
第一位
第二位
第三位
第四位
O型と親しきもの
A型と親しきもの
B型と親しきもの
AB型と親しきもの
O型
AB型
B型
A型
AB型
A型
O型
O型
A型
B型
A型
AB型
B型
O型
AB型
B型

(一四)体力保護兵と血液型との関係
 昭和四年、五年、六年徴集兵中保護兵に選定せられたもの九一名を血液型に分類し左表の如き成績を得た。

第十八表
保護兵/調査人員/血液型
O型
A型
B型
AB型
実数

実数

実数

実数






調査総人員
四六
一三
二九

九一
一、一九三
一八

一一

三六
三九七
三九・一三
(四・五四)
四六・一五
(一・五一)
三七・九三
(二・七七)
三三・三三
(〇・二五)
三九・五六
(九・〇七)
三三・二八
一六

一一

三四
四〇八
三四・七八
(三・九二)
四六・一五
(一・四七)
三七・九三
(二・六九)
三三・三三
(〇・二五)
三七・二六
(八・三三)
三四・二〇




一四
二六八
一七・三九
(二・九九)
七・七〇
(〇・三七)
一三・七九
(一・四九)
三三・三四
(〇・三七)
一五・三九
(五・二二)
二二・四六





一二〇
八・七〇
(三・三三)

一〇・三五
(二・五〇)

七・六九
(五・八三)
一〇・〇六
備考 (  )内の数字は各保護兵の各血液型の実数は調査総人員の各血液型の実数に対比し各血液型毎に求めた百分比である。

 体力保護兵甲四六名中、O型八名(三九・一三%)、A型一六名(三四・七八%)、B型八名(一七・三九%)、AB型四名(八・七〇%)、体力保護兵乙一三名中、O型六名(四六・一五%)、A型六名(四六・一五%)、B型一名(七・七〇%)、体力保護兵丙二九名中、O型一一名(三七・九三%)、A型一一名(三七・九三%)、B型四名(一三・七九%)、AB型三名(一〇・三五%)、体力保護兵丁三名中、O型一名(三三・三三%)、A型一名(三三・三三%)、B型一名(三三・三四%)にして調査総人員の各血液型の%と比較すると

比較/保護兵
体力保護兵甲に於て
体力保護兵乙に於て
体力保護兵丙に於て
体力保護兵丁に於て
調査総人員の血液型の%より多きもの
調査総人員の血液型の%より少なきもの
調査総人員の血液型の%と大差なきもの
O型A型
B型AB型

O型A型
B型

O型A型
B型
AB型
B型
A型
O型

 今各種の体力保護兵の各血液型の実数と調査総人員の各血液型の実数とを対比し各血液型毎に百分比を求むれば、体力保護兵甲のO型は調査総人員のO型の四・五四%、A型も同じく三・九二%、B型も同じく二・九九%、AB型も同じく三・三三%、保護兵乙に於ても同様にO型一・五一%、A型一・四七%、B型〇・三七%、AB型なし、体力保護兵丙に於ても同様にO型二・七七%、A型二・六九%、B型一・四九%、AB型二・五〇%、体力保護兵丁に於ても同様にO型〇・二五%、A型〇・二五%、B型〇・三七%に当り、各体力保護兵の種類に於て其の多き順位は

体力保護兵/順位
第一位
第二位
第三位
第四位




O型
O型
O型
B型
A型
A型
A型
O型
AB型
B型
AB型
A型
B型

B型


 なり。
 体力保護兵全員に於ては九一名中、O型三六名(三九・五六%)、A型三四名(三七・三六%)、B型一四名(一五・三九%)、AB型七名(七・六九%)にして、調査総人員の各血液型の%と比較すると体力保護兵に於て調査総人員の血液型の%より多きものO型、A型、調査総人員の血液型の%より少なきものB型、AB型である。
 今体力保護兵の各血液型の実数と調査総人員の各血液型の実数と対比し各血液型毎に百分比を求むれば、体力保護兵O型は調査総人員のO型の九・〇七%、A型は同じく八・三三%、B型は同じく五・二二%、AB型は五・八三%に当り体力保護兵の多き順位は

順位
第一位
第二位
第三位
第四位
血液型
O型
A型
AB型
B型

(一五)同胞数と血液型との関係
 留守隊初年兵、二年兵四一〇名に就き調査表其の二により同胞数を調査し、それを血液型に分類し左表の如き成績を得た。

第十九表
同胞数/調査人員/血液型
O型
A型
B型
AB型
実数

実数

実数

実数

同胞なし
同胞一人又は二人
同胞三人又は四人
同胞五人又は六人
同胞七人以上

二六
一一三
一三五
九五
四一
四一〇

三九
五〇
三二
一六
一四六
三四・六一
(六・一六)
三四・五一
(一六・七一)
三七・〇四
(三四・二五)
三三・六七
(二一・九二)
三〇・〇二
(一〇・九六)
三五・六一
一三
三三
四五
三一
一三
一三五
五〇・〇〇
(九・六三)
二九・二〇
(二四・四五)
三三・三三
(三三・三四)
三二・六四
(二二・九七)
三一・七一
(九・六三)
三二・九三

二八
二八
二一

八七
一一・五四
(三・四五)
三四・七八
(三二・一八)
二〇・七四
(三二・一八)
二二・一一
(二四・一四)
一七・〇七
(八・〇五)
二一・二二

一三
一二
一一

四二
三・八五
(二・三八)
一一・五一
(三〇・九五)
八・八九
(二八・五七)
一一・五八
(二六・一九)
一二・二〇
(一一・九一)
一〇・二四
備考 (  )内数字は各同胞数の各血液型の実数と調査総人員の各血液型の実数とを対比し各血液型毎に求めた百分比である。

 同胞なし二六名中O型九名(三四・六一%)、A型一三名(五〇・〇〇%)、B型三名(一一・五四%)、AB型一名(三・八五%)、同胞一人又は二人一一三名中O型三九名(三四・五一%)、A型三三名(二九・二〇%)、B型二八名(三四・七八%)、AB型一三名(一一・五一%)、同胞数三人又は四人一三五名中O型五〇名(三七・〇四%)、A型四五名(三三・三三%)、B型二八名(二〇・七四%)、AB型一二名(八・八九%)、同胞数五人又は六人九五名中O型三二名(三三・六七%)、A型三一名(三二・六四%)、B型二一名(二二・一一%)、AB型一一名(一一・五八%)、同胞七人以上四一名中O型一六名(三〇・〇二%)、A型一三名(三一・七一%)、B型七名(一七・〇七%)、AB型五名(一二・二〇%)にして調査総人員の各血液型の%と比較すると

比較/同胞数
同胞なしに於て
同胞一人又は二人に於て
同胞三人又は四人に於て
同胞五人又は六人に於て
同胞七人以上に於て
調査総人員の血液型の%より多きもの
調査総人員の血液型の%より少なきもの
調査総人員の血液型の%と大差なきもの
A型
O型B型AB型

B型AB型
O型A型

O型A型
B型AB型

B型AB型
O型
A型
AB型
O型B型A型


 今各同胞数の各血液型の実数と調査総人員の各血液型の実数と対比し各血液型毎に百分比を求むれば、同胞なしのO型は調査総人員のO型の六・一六%、A型は同じく九・六三%、B型は同じく三・四五%、AB型は二・三八%、同胞数一人又は二人に於ても同様にO型二六・七一%、A型二四・四五%、B型三二・一八%、AB型三〇・九五%、同胞数三人又は四人に於ても同様にO型三四・二五%、A型三三・三四%、B型三二・一八%、AB型二八・五七%、同胞数五人又は六人に於ても同様にO型二一・九二%、A型二二・九七%、B型二四・一四%、AB型二六・一九%、同胞数七人以上に於ても同様にO型一〇・九六%、A型九・六三%、B型八・〇五%、AB型一一・九一%に当り各同胞数に於て多き順位は

同胞数/順位
第一位
第二位
第三位
第四位
同胞なし
同胞一人又は二人
同胞三人又は四人
同胞五人又は六人
同胞七人以上
A型
B型
O型
AB型
AB型
O型
AB型
A型
B型
O型
B型
O型
B型
A型
A型
AB型
A型
AB型
O型
B型

(一六)出生順と血液型との関係
 出生順を調査表其の二により留守隊初年兵、二年兵四一〇名に出生順を調査し血液型に分類し左表の如き成績を得た。

第二十表
出生届/調査人員/血液型
O型
A型
B型
AB型
実数

実数

実数

実数

長子
第二子
第三子
第四子
第五子
第六子
第七子
第八子
第九子

一五一
一六五
七一
一八

四一〇
五九
五〇
二七


一四六
三九・〇七
(四〇・四一)
三〇・三〇
(三四・二五)
三八・〇二
(一八・四九)
三八・八九
(四・八〇)
六〇・〇〇
(二・〇五)
三五・六一
四七
五八
二四


一三五
三一・一三
(三四・八二)
三五・一五
(四二・九六)
三三・八〇
(一七・七八)
二七・七八
(三・七〇)
二〇・〇〇
(〇・七四)
三三・九三
三四
三四
一三


八七
二二・五二
(三九・〇八)
二〇・六一
(三九・〇八)
一八・三一
(一四・九四)
二七・七八
(五・七五)
二〇・〇〇
(一・一五)
二一・二二
一一
二三



四二
七・二八
(二六・一九)
一三・九四
(五四・七六)
九・八五
(一六・六七)
五・五五
(二・三八)

一〇・二四
備考 (  )内の数字は各出生順の各血液型の実数と調査総人員の各血液型の実数を対比し各血液型毎に求めた百分比である。

 長子一五一名中、O型五九名(三九・〇七%)、A型四七名(三一・一三%)、B型三四名(二二・五二%)、AB型一一名(七・二八%)、第二子及第三子一六五名中、O型五〇名(三〇・三〇%)、A型五八名(三五・一五%)、B型三四名(二〇・六一%)、AB型二三名(一三・九四%)、第四子及第五子七一名中、O型二七名(三八・〇二%)、A型二四名(三三・八〇%)、B型一三名(一八・三一%)、AB型七名(九・八五%)、第六子及第七子一八名中、O型七名(三八・八九%)、A型五名(二七・七八%)、B型五名(二七・七八%)、AB型一名(五・五五%)、第八子及第九子五名中、O型三名(六〇・〇〇%)、A型一名(二〇・〇〇%)、B型一名(二〇・〇〇%)にして調査総人員の各血液型の%と比較すると

比較/出生届
長子に於て
第二子及第三子に於て
第四子及第五子に於て
第六子及第七子に於て
第八子及第九子に於て
調査総人員の血液型の%より多きもの
調査総人員の血液型の%より少きもの
O型B型
A型AB型
A型AB型
O型B型
O型A型
B型AB型
O型
A型B型AB型
O型
A型B型

 である。
 今各同胞数の各血液型の実数と調査総人員の各血液型の実数とを対比し各血液型毎に百分比を求むれば、長子のO型は調査総人員のO型の四〇・四一%、A型は同じく三四・八二%、B型は同じく三九・八%、AB型は同じく二六・一九%、第二子及第三子に於ても同様にO型三四・二五%、A型四二・九六%、B型三九・〇八%、AB型五四・七六%、第四子及第五子に於ても同様にO型一八・四九%、A型一七・七八%、B型一四・九四%、AB型一六・六七%、第六子及第七子に於ても同様にO型四・八〇%、A型三・七〇%、B型五・七五%、AB型二・三八%、第八子及第九子に於ても同様にO型二・〇五%、A型〇・七四%、B型一・一五%に当り各出生順に於て多き順位は

出生届/順位
第一位
第二位
第三位
第四位
長子
第二子
第三子
第四子
第五子
第六子
第七子
第八子
第九子
O型
AB型
O型
B型
O型
B型
A型
A型
O型
B型
A型
B型
AB型
A型
A型
AB型
O型
B型
AB型


 である。

(一七)弁色不全者と血液型との関係
 昭和七年一月十日入営した初年兵七五六名に就き色神異常を色神検査表により検査し弁色不全者四八名を血液型に分類し左表の如き成績を得た。

第二十一表
弁色/調査人員/血液型
O型
A型
B型
AB型
実数

実数

実数

実数

弁色不全者
調査総人員
四八
七五六
一四
二四五
二九・一六
(五・七一)
三二・四一
一四
二六一
二九・一六
(五・三六)
三四・五二
一二
一七六
二五・〇〇
(六・八二)
二三・二八

七四
一六・六八
(一〇・八二)
九・七九
備考 (  )内数字は弁色不全者の各血液型の調査総人員の各血液型の実数と対比し各血液型毎に求めた百分比である。

 弁色不全者四八名中、O型一四名(二九・一六%)、A型一四名(二九・一六%)、B型一二名(二五・〇〇%)、AB型八名(一六・六八%)にして調査総人員の各血液型の%と比較すると

 調査総人員の血液型の%より多きもの     B型  AB型
 調査総人員の血液型の%より少なきもの     A型  O型

 今弁色不全者の各血液型の実数と調査総人員の各血液型の実数とを対比し各血液型毎に百分比を求むれば弁色不全者のO型は調査総人員のO型の五・七一%、A型は同じく五・三六%、B型は同じく六・八二%、AB型は同じく一〇・八二%に当り其多き順位は

順位
第一位
第二位
第三位
第四位
血液型
AB型
B型
A型
O型

 である。

五、結論

 余等の調査した範囲に於ける結果を総括すると次の如くになる。然し乍ら之は余等の調査範囲内のことを述べるのであつて、この結果が他の調査に於ても毎常同じであると云ふのでないことを特に御断りしておきたい。

一、歩兵第三十連隊留守隊将校以下一、四二五名の血液型の頻度はO型三二・四三%、A型三四・六七%、B型二二・四五%、AB型一〇・四五%で、その生物学的人種係数は一・三七である。

二、歩兵第三十連隊兵員の主なる出身地域たる上越地方出身兵員一、三一三名の血液型頻度によれば、上越後地方の血液型頻度はO型三三・二六%、A型三三・九七%、B型二二・六四%、AB型一〇・一三%で其の生物学的人種係数は一・三四である。

三、兵の階級と血液型の関係に於て上等兵以上に於てはO型多く、B型之に次ぎ、一等兵級に於てはB型多くA型之に次ぐ。

四、序列と血液型との関係
 上位にB型多く、O型之れに次ぐ、中位にA型多く下位にAB型多く、之れに次いでO型が多い。

五、学術科と血液型との関係
 学科が術科より優れるものにAB型多く之に次ぐはB型である。術科が学科より優れるものにO型多く、術科学科同程度のものにA型が多い。

六、銃剣術と血液型との関係
 AB型最も勝率良く第二位O型、第三位A型、第四位B型である。

七、顔貌と血液型との関係
 爽快の顔貌を呈するものにB型最も多く、之に次いでA型が多い。憂鬱の顔貌を呈する者にA型最も多く、無表情の顔貌を呈する者にAB型最も多く、之れに次いでO型が多い。

八、談話と血液型との関係
 多弁と思はれるものにB型多く、之に次いでA型が多く、普通と思はれるものにAB型多く之に次いでA型多く、寡言と思はれるものにO型が多い。

九、B型に不潔を意とせざるものが最も多い。

一〇、態度と血液型との関係
 屈服なる者にB型多くO型之れに次ぎ、従順なるものにA型が多い。無頓着なるものにAB型が多くB型之れに次ぐ、不行儀なるものにAB型が多く之に次いでO型、A型が多い。不遜なるものにAB型が多く之れに次ぐはO型、B型である。反抗するものにO型が多い。

一一、操行と血液型との関係
 操行正なるものにB型多く、A型之に次ぎ操行普通なるものにAB型多く、之に次いでO型が多く、操行不可なるものにAB型が多い。

一二、気質と血液型との関係
 着実なるものにA型が多い。他人に無関心にて自分勝手で働く者にAB型多く、之れに次いでO型、A型多い。真面目に兵業を執るものにB型多く之に次いでAB型、O型多い。感情に激し易き者にA型多くAB型之れに次ぎ、厭世的のものにO型多い。空想的のものにO型多い。気分で働く者にAB型多く、之に次いでA型、B型多い。楽天的の者にB型多く、之れに次いでA型が多い。

一三、嗜好と血液型との関係
 煙草を嗜む者にAB型が多く、A型之れに次ぎ、酒を飲む者にA型多く、AB型之れに次ぎ、読書を好む者にA型が多い。

一四、団体生活に興味を有せざるものと血液型との関係
 団体生活に興味を有せざるものはAB型最も多く、之に次いでO型が多い。

一五、各血液型の者は如何なる血液型の者と最も親しくするか
 O型に最も親しきはO型でAB型之れに次ぐ。
 A型と親しき者にAB型最も多くA型之れに次ぐ。
 B型と親しき者にB型最も多くO型が之れに次ぐ。
 AB型と親しき者にA型が多い。

一六、体力保護兵と血液型との関係
 体力保護兵にO型最も多く、之に次ぐはA型である。

一七、同胞数と血液型との関係
 同胞なき者にA型が多い。同胞一人及二人にB型が多く、AB型之に次ぎ、同胞三人及四人の者にO型が多くA型之に次ぎ、同胞数五人及六人にAB型多く之に次いでB型が多い。同胞数八人以上にはAB型が多い。

一八、出生順と血液型との関係
 長子にO型多く之に次ぐはB型である。第二子及第三子にAB型多くA型之に次ぐ。第四子及第五子にO型多く、之に次ぐはA型である。第六子及第七子にB型多くO型之に次ぐ、第八子及第九子にO型多い。
 一九、弁色不全者と血液型との関係
 弁色不全者にAB型最も多くB型が之に次ぐ。

 擱筆に臨み多大の便宜と指導を賜りたる内山留守隊長殿及角田衛戍病院長殿に深厚なる謝意を表す。

文献

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