陸軍中将 四王天延孝閣下講演 フリーメーソン秘密結社に就いて 世界覆滅の大陰謀暴露


題名
陸軍中将 四王天延孝閣下講演 フリーメーソン秘密結社に就いて 世界覆滅の大陰謀暴露
著者
四王天延孝
出版
人類愛善会亜細亜本部

昭和八年十月
備考



◇日本帝国と秘密結社

 斯くして今や、彼等フリーメーソン秘密結社員達は、第二の世界大戦を更に計画し、その途上に於て、帝王政治の国体を転覆せんと進んでゐるのであります。殊に我日本は世界に誇る金甌無欠の皇国であるが故に、彼等の鋭鋒が只管我国に向けられ、今やひた押しにつき進んで我国を陥入れんとしつゝあるのであります。故に我は飽迄も、これに対抗する覚悟をもつて、進まねばならぬのであります。
 而して我々はこれに堪え得る力があると確信するのであります。それは日本は神国であり、一貫して流るゝ所の大和魂がある限り彼等の乗ずる余地はないからであります。
 私は昨年の春三月六日に、埼玉県の方へまゐりました時赤羽駅で汽車に乗りますと、その中に白い布に包んだ箱が三つあります。そして蝋燭や線香があげられてゐる。これはすぐ勇士の無言の凱旋であると判つたので、私は丁重な黙礼をした。聞けば二月四日ハルピン南方の戦闘に於て戦死した所の、越後の高田歩兵第三十連隊の山崎伍長以下三名の遺骨であるとの事であります。
 この列車が駅々に止りますと、そこには五百人、千人或は二千人と云ふ様な、実に多数の人達が団体をなし、或は個人でもつて迎へてゐる。大きな駅では、その中の代表者が車中に入つて御焼香する、外では僧侶が、声高らかに読経して回向をする。特に感激致しましたのは、寧ろ駅と駅との間に、三人五人の民衆が或は菜つ葉服を着て、鳥打帽をかぶつて、手拭を首にかけて今から工場へ出かけ様としてゐる職工さん、又は手拭を鉢巻にして子供を背負つてゐる子守つ子、中には日の丸の旗に黒い小帛をかけて持つて来てゐる者もあつて、皆一様に白い箱が見へると帽子や手拭を取つて丁寧に礼をする。この光景を見て、本当に尊い姿であると考へました。凡そ二時間半計り、感激の涙の乾く間もない旅行でありました。



戻る