| 題名 |
軍鳩管理規則 |
| 著者 |
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| 出版 |
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| 版 |
昭和十九年四月六日 |
| 備考 |
画像・本文とも、ウェブサイト「アジア歴史資料センター」の「軍鳩管理規則」（Ref.C01005593600）が底本。 |
| 陸達第二十七号 軍鳩管理規則本冊ノ通制定ス 昭和十九年四月六日 陸軍大臣 東条英機 ＊＊＊ 目次 第一章 総則……一 第二章 保管……二 第三章 補充……三 第四章 除役……四 第五章 生産、育成及購買……五 第六章 報告、通報……五 第七章 検査……六 第八章 軍鳩ノ標識……六 第九章 軍鳩名簿……七 第十章 雑則……七 第十一章 付則……八 ＊＊＊ 軍鳩管理規則 第一章 総則 第一条 本規則ハ各部隊ニ於ケル軍鳩管理ニ必要ナル事項ヲ規定ス 第二条 本規則ニ於テ部隊ト称スルハ軍隊、官衛、学校及特務機関ノ総称トシ所管長官ト称スルハ師団長及之ト同等以上ノ権アル長官竝陸軍大臣直轄ノ部隊長ヲ、部隊長ト称スルハ特ニ示ス場合ノ外所管長官隷下各部隊ノ長ヲ総称ス 第三条 本規則ニ於テ軍鳩ト称スルハ軍用ニ供スル為陸軍諸部隊ニ保管飼養スル左ニ掲クルモノヲ謂フ 一 部隊鳩 陸軍通信学校及鳩育成所以外ノ部隊ニ於テ保管スル定数内ノモノヲ謂フ 二 育成鳩 陸軍通信学校及鳩育成所ニ於テ保管スル定数内ノモノヲ謂フ 三 予備鳩 各部隊ニ於ケル過剰鳩（定数ニ対シ過数トナルヘキ鳩）中尚軍役ニ堪フルモノヲ謂フ 第四条 軍鳩ヲ分チテ通信鳩及種鳩（軍鳩ノ蕃殖ニ用フルモノヲ謂フ）トシ通信鳩ノ用役左ノ如シ 一 固定鳩 固定セル鳩舎ニ飼養シ片道通信ニ用フルモノヲ謂フ 二 往復鳩 二鳩舎間ノ往復通信ニ用フルモノヲ謂フ 三 移動鳩 移動スル鳩舎ニ飼養シ片道通信ニ用フルモノヲ謂フ 四 夜間鳩 夜間ノ通信ニ用フルモノヲ謂フ 第五条 軍鳩ハ左ノ各号ノ資格ヲ具備スルヲ要ス但シ特種ノ目的ヲ有スルモノ又ハ戦時等ニ於テ補充上已ムヲ得サルトキハ本条ノ規定ニ依ラサルコトヲ得 一 鳩体各部ノ対称宜シキヲ得体格中庸ニシテ成鳩（生後一年以上ノモノヲ謂フ）ハ体重概ネ四百二十瓦乃至四百六十瓦ヲ有シ体質強健筋骨翼羽能ク発育シテ強ク性質温順怜悧ニシテ各用役ニ応スル通信能力ニ富ミ所定ノ金属製脚環ヲ装スルコト 二 年齢（生後満ヲ以テ算フ）概ネ一月以上タルコト但シ種鳩ニ在リテハ三乃至六歳タルコト 三 羽色ハ目立チ易キ白色ヲ混セサルコト 第二章 保管 第六条 各部隊ニ於ケル軍鳩ノ定数ハ別ニ定ムル所ニ依ル 第七条 予備鳩ノ取扱ハ部隊鳩ニ準スルモノトス 第八条 部隊長ハ過剰鳩中軍用ニ堪ユルモノヲ選定シ定数ノ概ネ二分ノ一以内ヲ定数外トシテ飼養スルコトヲ得但シ之ニ要スル経費ハ令達予算内ニ於テ支弁スルモノトス 第九条 所管長官ハ必要ニ応シ所管内各部隊ノ軍鳩ヲ彼此交換セシメ或ハ予備鳩ヲ保管転換セシムルコトヲ得 第十条 軍鳩ハ兵ヲシテ取扱ハシムルヲ本則トス但シ特ニ必要ナル部隊ハ軍鳩手（雇員又ハ傭人）ヲシテ取扱ハシムルヲコトヲ得 第三章 補充 第十一条 部隊鳩ハ通常毎年育成鳩ヲ以テ補充スルヲ本則トス、但シ育成鳩不足ノ場合又ハ特ニ必要アルトキハ他部隊ノ予備鳩、購買鳩、時トシテ献納鳩等ヲ以テ補充スルコトヲ得 第十二条 軍鳩ノ補充ハ陸軍大臣ニ於テ陸軍通信学校長ヲシテ実施セシムルヲ通常トス 第十三条 軍鳩ノ補充ハ大本営直属軍及陸軍大臣直轄部隊ニ対シ之ヲ行フ但シ学校ニ対シテハ直接之ヲ行フ 第十四条 前条部隊長ハ所管内各部隊ニ対スル定期補充ヲ要スル所要用役別鳩数ヲ各直轄部隊毎ニ区分シ毎年十二月三十一日迄ニ陸軍大臣ニ報告（通報）スルモノトス 陸軍大臣ハ定期補充鳩数ヲ定メ毎年補充時期概ネ二月前ニ之ヲ被補充部隊長ニ達（通報）スルト共ニ陸軍通信学校長ニ達ス 第十五条 部隊鳩ニ対スル定期ノ補充率ハ毎年定数ノ概ネ二分ノ一以内トス 第十六条 軍鳩ノ定数ニ欠数ヲ生シタルトキハ当該部隊長ハ予備鳩ヲ以テ補充シ尚定数ニ満タスシテ他ニ補充ノ途ナキトキハ臨時之ヲ陸軍大臣ニ報告（通報）スルモノトス 軍鳩ノ臨時補充ノ要領ハ定期補充ニ準ス 第十七条 部隊鳩補充ノ時期ハ毎年概ネ六乃至十二月トス但シ特ニ必要アルトキハ陸軍通信学校長ハ関係部隊長ト協議ノ上交付時期ヲ適宜変更スルコトヲ得 第十八条 補充鳩ノ交付地ハ概ネ左ノ各号ニ依ル 一 内地部隊（朝鮮、台湾ヲ含ム）ニ対シテハ陸軍通信学校 二 管区内ニ鳩育成所ヲ有スル部隊ニ対シテハ当該鳩育成所 三 其ノ他ノ部隊ニ対シテハ補充ヲ受クル部隊ノ揚陸地 前項ノ交付地ハ特ニ必要アルトキハ陸軍通信学校長ハ関係部隊長ト協議ノ上適宜変更スルコトヲ得 第十九条 軍鳩補充ノ為前条交付地迄ノ輸送ハ陸軍通信学校、交付地ヨリ被補充部隊迄ノ輸送ハ被補充部隊ノ担任トス 第二十条 軍鳩用器材ノ補給要領ハ第十二乃至第十四、第十六各条ニ準ス 第二十一条 作戦地ニ対スル補充（補給）ノ要領ハ戦時補充令ニ依ルモ成ルヘク前諸条ヲ準用スルモノトス 第四章 除役 第二十二条 部隊長ハ過剰鳩中軍役ニ堪ヘサルモノ及第八条ノ定数外ヲ更ニ超過スルモノヲ適時除役処分ヲ為ス但シ失踪鳩（通信訓練ニ於テ七日以内ニ鳩舎ニ帰還セサルモノヲ謂フ）ハ失踪決定ノ月末ニ於テ除役処分ヲ為スモノトス 第二十三条 前条ニ依リ除役セル軍鳩ハ各部隊ニ於テ売却等適宜処分スルモノトス但シ除役鳩ノ処分ニ際シテハ敵手ニ入リ又ハ之ニ利用セラレサル如ク注意スルヲ要ス 第二十四条 部隊長ハ所管長官ノ認可ヲ受ケ予備鳩ヲ試験研究ノ為使用スルコトヲ得但シ此ノ際要スレハ除役処分ヲナスモノトス 第五章 生産、育成及購買 第二十五条 軍鳩ノ生産ハ陸軍通信学校及鳩育成所ニ於テ実施スルヲ本則トス但シ其ノ他ノ部隊ニ於テ特ニ生産ヲ必要トスルトキハ通信ニ支障ナキ限リ所管長官ノ認可ヲ受ケ自隊ニ於テ生産スルコトヲ得 第二十六条 軍鳩一羽ニ対スル飼料日量ノ標準左ノ如シ 白豌豆三十瓦、玉蜀黍十五瓦、麻実五瓦、屑米五瓦、青菜五瓦、牡蠣末三瓦、塩土二瓦 必要ニ応シ代用品ヲ給シ又ハ右数量ヲ適宜変更スルコトヲ得 第二十七条 種鳩ハ各用役区分毎ニ設ケ二年以上当該用役ニ服シタルモノノ中ヨリ選定スルヲ本則トス但シ已ムヲ得サル場合ハ他ノ用役ノモノヨリ種鳩ヲ選定スルコトヲ得 第二十八条 軍鳩ノ購買ハ軍ニ於テ公認セル軍用鳩公共団体ニ属スル鳩ニシテ所定ノ脚環及鳩名簿ヲ有スルモノニ対シテ之ヲ行フモノトス 第二十九条 軍鳩ノ購買ハ通常陸軍通信学校及鳩育成所ニ於テ之ヲ行フ、但シ特ニ必要アルトキハ其ノ購買ヲ他ノ部隊ニ委託スルコトヲ得 第三十条 部隊長ハ所管長官ノ認可ヲ受ケ軍鳩ノ献納ヲ受クルコトヲ得 献納鳩ノ受理ニ関シテハ別ニ定ムル所ニ依ル 第六章 報告、通報 第三十一条 所管長官ハ毎年六月、十二月末日調ノ軍鳩現況報告（様式ハ付表第一ニ依ル）ヲ陸軍大臣ニ呈出スルト共ニ陸軍通信学校長ニ通報スルモノトス 第三十二条 陸軍通信学校長ハ毎年三月三十一日迄ニ新年度ニ於ケル軍鳩ノ補充、蕃殖、育成及購買計画ヲ、四月三十日迄ニ前年度ニ於ケル其ノ実施ノ成績ヲ陸軍大臣ニ提出スルモノトス 第三十三条 陸軍通信学校長ハ概ネ補充二月前ニ交付スヘキ鳩数、期日、場所、所要人員及其他必要事項ヲ関係部隊長ニ通報スルモノトス 第七章 検査 第三十四条 所管長官ハ適時所管部隊保管鳩ノ検査ヲ行フモノトス 但シ所管長官ハ其ノ命スル者ヲシテ之ヲ行ハシムルコトヲ得 第三十五条 陸軍通信学校長ハ臨時各部保管鳩ノ状況ヲ視察シ陸軍大臣ニ報告スヘシ 第三十六条 陸軍大臣ハ臨時必要ニ応シ検査官ヲ命シ各部隊ノ軍鳩ニ付検査ヲ行ハシム 第八章 軍鳩ノ標識 第三十七条 軍鳩ニハ星章、生産部隊号（秘匿番号）、生年号及軍鳩番号ヲ刻セル脚環ヲ左脚ニ嵌装ス軍鳩番号ハ各生産部隊ニ於テ毎年当該部隊ノ全鳩ヲ通シ一連番号ヲ付スルモノトス 第三十八条 脚環ハ金属製ニシテ高サ九粍、内径八、六粍ヲ有シ継目無キモノトシ生後第七日目ニ通常其ノ左脚跗蹠ニ立姿ニ於テ刻字逆ニナル如ク装着スルモノトス 脚環標識竝装着要領ハ付録第一ニ依ル 第九章 軍鳩名簿 第三十九条 軍鳩ニハ各軍鳩名簿ヲ備フルモノトス 軍鳩名簿ノ様式ハ付表第二ニ依ル 第四十条 軍鳩名簿ハ脚環装着時之ヲ調製シ該鳩ヲ保管スル部隊ニ於テ保管スルモノトス 軍鳩ノ所属ヲ変更シタルトキハ其ノ軍鳩名簿ヲ新所属部隊ニ送付スルモノトス 第四十一条 軍鳩名簿ハ生産部隊ニ於テ之ヲ調製ス但シ陸軍部外ヨリ軍ノ所属トナリタル軍鳩ニ在リテハ当該鳩名簿ニ所要ノ補修ヲ為スモノトス 第四十二条 軍鳩名簿ハ除役又ハ斃死後一年間之ヲ保管シオクモノトス 第四十三条 鳩体外貌ノ名称、羽色、特徴及損徴ノ記載ニ付テハ付録第二乃至第五ニ依ル 第十章 雑則 第四十四条 軍鳩ノ伝染病予防ニ付テハ別ニ定ムル所ニ依ル 第四十五条 所管長官ハ本規則ニ基キ所管軍鳩管理ノ為所要ノ事項ヲ規定スルモノトス 第十一章 付則 本達ハ昭和十九年六月一日ヨリ之ヲ施行ス
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